「欲しい気持ち」を押し流す、口コミの不都合 大量の情報が買い物をどんどん億劫にする

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生活者の利便性を上げた反面、マイナスも生み出しているようです(写真:vectorfusionart / PIXTA)

第一回:事実!日本人の「買物欲」は衰えていなかった

第二回:現代人の「買物欲」は、なぜ簡単に流れるのか

あるモノを「欲しい」と思っても、その気持ちはいつの間にか流れてしまう――。そんな現代人に広く見られる心理について、私たちは「欲求流去」と名付け、2回にわたり解説してきた。

では具体的に、その気持ちは「いつ」流れ去ってしまうのか。私たちは流れ去るポイントを見つけるため、「欲しいと思った直後」「情報探索中」「購入検討時」の3つの段階に分け、分析してみた。

結果、最終的に購買に至らなかったケースで欲求が流れたタイミングを聞いてみると、「欲しいと思った直後」が3割、「情報探索中」が4割、「購入検討時」が3割という分布になった。

買物欲を高めるパワーは「店頭」が圧倒的

「情報探索中」の流去が頭一つ抜けているが、もう少し細かく、どんな場所での情報探索中なのかも聞いてみた。結果は1位「店頭(30.5%)」、2位「口コミ、ランキング、価格サイト(28.5%)」、3位「ECサイト(26.5%)」。どれも僅差だが、2、3位には情報比較が容易なウェブの接点がランクイン。多くの商品、口コミが簡単に見られるようになった反面、その情報量が流去のきっかけになっていることがわかる。

では逆に、欲求が流去せず、むしろ高まって購買に至ったケースはどうか。これも先ほどと同じ3つのポイントに分けて聞いてみると、「欲しいと思った直後」が4割と最も高く、「情報探索中」が3割、「購入検討時」でも3割の人が「欲しい」という気持ちを高めていることが判明した。

「欲しいと思った直後」に、その買いたい気持ちが高まっている場所として挙がっているのは、圧倒的に「店頭(59.4%)」だ。2位の「ECサイト(13.1%)」を40%以上引き離す結果となり、情報過多の時代にリアルな店頭の力が際立った。

次ページ商品カテゴリーで「流去」の傾向に大きな差
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