米国の長期金利上昇、「春の嵐」再燃も 1月のFOMCは景気判断を前進させる(Fedウォッチャー)

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昨年12月のFOMCでは、失業率と1~2年後のインフレ予想の水準が規定値(閾値、いきち)を超えるかどうかによって最初の利上げ時期を決めるという新たな金利ガイダンスが発表された。

その際、声明文には「資産購入プログラムを停止し、景気回復が強まった後かなりの期間にわたって、高い緩和姿勢を維持することが適切」と記されていた。これは「最初の利上げのかなり前に、追加的な証券購入を停止する」と読み替えることができる。11年6月に決まった出口戦略の手順に従った考え方だが、「かなりの期間」とは具体的にどれ位の長さを表すのか、曖昧なまま残されたのである。

ニューヨーク連銀が昨年12月のFOMC前に行ったプライマリー・ディーラー21社に対するアンケート調査(今年1月5日公表)では、「2013年を通じて証券買入れペースが保たれる」というのが平均的回答だった。しかし一部には「2013年下期の購入ペース縮小」という見通しを示したディーラーもいた。

こうした事実からは、議事録に対する米債市場の反応はやや過剰だったのではないかと思われる。とは言え、金融政策の透明性を高める努力が続けられるほど、残された曖昧さが金融市場に思わぬショックをもたらしうるのは、FRBにとって悩ましい問題だろう。

 関心高まるFRBの損失リスク

量的緩和策を巡っては市場機能の後退や金融の不安定化(つまりバブル)をもたらす懸念がFOMC内で指摘されているが、それに加えて新たにFRBの損益に与える影響も議題にのぼり始めた。

議事録では議論の詳しい内容が明らかにされていないが、少なくともこの議論には2つのポイントがあると思われる。第1は、FRBが損失を被る蓋然性は高いのか。第2は、FRB、あるいは一般論として中央銀行が損失を被るとどんな影響があるのかだ。

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