賃金を上げるには成長戦略が必要

米国のインフレ率2%の理由は生活コスト上昇

「われわれは“ホテル・カリフォルニア的な金融政策”と私が呼んでいるリスクに瀕している」。米ダラス連銀のフィッシャー総裁は昨年12月14日のCNBCテレビのインタビューでそう答えた。“ホテル・カリフォルニア”は、ご存知のように、イーグルスの1970年代の大ヒット曲だ。「一度入ったら誰も出られない」という意味合いで、米国では近年その曲名がよく引用される。

フィッシャーは、FRB(米国連邦準備制度理事会)がこれまで行ってきた超金融緩和策(いわゆる“QE”)の先行きの出口政策はかなりの困難、トラブルを伴うと心配しているため、そのような表現を使っている。「理論的にはわれわれはこのプログラムから好きなときにチェックアウトできることになっている。しかし、実際は、われわれはバランスシートを膨張させ続けているため、この状況から抜け出すことはできないかもしれない」。

ただし、フィッシャーはFOMC(連邦公開市場委員会)の中では少数派である。主流派を引き連れるバーナンキFRB議長がすぐにスタンスを変えることはないだろう。彼は2014年1月に議長の任期を終える。そこで彼が退任するなら、事実上の「勝ち逃げ」となり得るが、後任議長は出口政策で苦しむおそれがある。

超金融緩和策はフリーランチではない

異例の超緩和策は、実行中の効果だけでなく、出口政策まで含めたトータルのサイクルでそのよしあしを評価する必要がある。現在のFRBは長期のMBS(モーゲージ担保証券)を大量に購入して住宅ローン金利の上昇を抑えようとしている。

経済が活性化して、金融引き締めに転じるときは、FRBは同証券を市場に売却しなければならない。それは住宅ローン金利を高騰させうるが、そこで多くの政治家はFRBに金融引き締めを抑えるように攻撃を加えるかもしれない。フィッシャーは明示していないが、彼はそういった摩擦を心中で懸念しているのだろう。出口政策が円滑に行えない場合は、その後にインフレ率の高騰か、あるいは何らかの望ましくない資産バブルが起きる可能性が高まる。

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