資本主義は、もう「戦争」でしか成長できない

思想家・内田樹×政治学者・白井聡 特別対談

日本を代表する2人の知性、思想家の内田樹氏、政治学者の白井聡氏の特別対談(撮影:尾形文繁/ヒラオカスタジオ)
「永続敗戦」レジームで対米従属を強化する日本。いつ主権を回復できるのか? 本当の民主主義は、どのようなかたちで実現できるのか?
日本を代表する2人の知性、思想家の内田樹氏、政治学者の白井聡氏による『属国民主主義論』が、このほど上梓された。
「属国化」「コスパ化」「消費者化」「数値化」「階級化」などをキーワードに徹底討議した本書から一部抜粋してお届けする。

いったいどうやって経済成長を実現する気なのか

尊皇攘夷ならぬ尊米攘夷の「永続敗戦」レジームで対米従属を強化する日本。「コスパ化」「消費者化」「数値化」「幼稚化」「階級化」などをキーワードに、自発的隷従の論理と心理を抉り出す(本書の出版を記念し、トークショーを開催します。詳しくはこちら

内田:グローバル資本主義はもう限界に来ていると思います。資本家が会社を作って投資をして、それが新たな産業を生んで、消費が刺激され、経済規模が拡大してゆく、というのが、産業革命以来の資本主義発展の構図でしたけれど、もうそのサイクルが成り立たなくなっている。今の政権で一番大きな考え違いは「もう成長しない」という事実を決して認めようとしないことですね。

でも、まだ残っているイノベーションのありそうな投資領域というと、ITとバイオくらいしかないわけです。「1投資したら、1.1になって返ってくる」というレベルのローリスク・ローリターンの投資は、資本家には食指が動かない。やはり「1投資したら、100、200になって返ってくる」という「大化け」の可能性がないと投資意欲が湧かない。

その中で、ITとバイオだけは、投資したおカネが何百倍、何千倍になって返ってくる可能性があると見られている。だから、そこに投資家は注目する。でも、「1投資して1000になって返ってくる」ということは、千に一つくらいしか当たらないということでもあるわけです。俗に「千三つ」と言うけども、ITやバイオはもっとひどくて「千一」なんです。専門家に伺ったら、「日本の大学発のバイオベンチャーでビジネス的に成功したケースは、これまで2例しかない」と言っていました。

白井:たった2例ですか。

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