欧州発の金融危機に、日本株は脅えている 反発かさらなる下落か、ここは重要な局面だ

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ここは自動車株を中心に下げた輸出関連株を値ごろ感で買いたくなるものですが、実際、持つべきものは暴落相場で耐えた銘柄かもしれません。

該当する銘柄を全てご紹介はできませんが、24日高値から27日高値までの上昇率が高い、主なものだけを紹介すると、ジェイアイエヌ(3046)、ホギメディカル(3593)、イエローハット(9882)、山崎製パン(2212)、ツムラ(4540)、西松建設(1820)、セントラル警備保障(9740)、タカラトミー(7867)、NTT(9432)、タクマ(6013)、京王電鉄(9008)、前田建設工業(1824) などが挙げられます。

1万4750円まで下落か反発か、大事な局面へ

最後に「大はずれ」した反省も踏まえ、日経平均株価のチャート面でのポイントを記してみました。6月16日安値(1万5395円)を下回ったことで、4月25日高値(1万7613円)からの目先の「下落波」は、「三段目の下げ」に入った解釈になります。

時間軸でみると、昨年の高値(2万0952円)からちょうど1年後の24日に大波乱が起きました。もっと短い時間軸でみると、2月12日安値から4月8日安値までが「40日」、直近高値となった4月25日高値から「40日」後は23日でしたが、少し都合よく考えると、24日は1日ずれるかたちでの「上昇か、下げ加速への変化日」となった可能性が高いのです。

ここから、テクニカル面では、以下の代表的な二つのパターンを予想することができます。

まずは、4月25日の高値から最初に下げた幅(1638円)と同じ値幅を6月24日の高値(1万6389円)から下げた1万4750円のあたりで、下げ止まるケースです。

もうひとつは早々に24日の「長大陰線」(真っ黒な長いローソク足)の値段の範囲の中で、「はらみ足」(子供を身ごもっているようにみえることからついたたとえ)などが示現する場合で、次に「陽線」が続けば、いったん下げ止まりを意識するパターンです。28日には一応、後者のパターンになりましたね。さて6月29日は、チャート上でマド(空間)を開けて上昇できるでしょうか?

一方、2月12日安値(1万4865円)や上記の1万4750円処を明確に下回る場合、昨年6月24日高値(2万0952円)を起点としたより大きな三段下げ目に入り、1万4000円処や1万3500円処を視野に入れた動きに発展する可能性が高まります。

6月29日は「株主総会」の開催が集中します。指標面での割安感に加え、「株主総会」が直ちに海外投資家による日本株買いのきっかけとなるとは思えませんが、ここからダラダラ下げが続く展開も想定しづらいのです。

裁定取引(現物と先物の価格差に注目して利益をえようとする取引)にともなう現物株の買い残高は1兆0351億円程度(6月17日現在)と、アベノミクス相場が始まる前の、なんと2012年6月以来の水準まで減少し、売り圧力が低下していると判断できるからです。

NPO法人の日本テクニカルアナリスト協会が、基礎編に続く「初級編①」を発刊。無料で配布しています。

しかし、株価の方はここまで騒いでいる割には、「アベノミクス相場の半分程度」しか下落していない。とも言えるのです。材料は後からついてくるものとして、このあたりをどう考えるか、今年後半の見通しをたてるうえでのカギとなりそうです。

さて、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のためにハンドブック(初級編①)を作成しました。前回大好評をいただいた基礎編に続く冊子です。無料で配布しておりますので、興味のある方は、NTAAのHPからぜひお申し込みください。なお、基礎編とあわせて2冊申し込むことも可能です。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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