米国産牛肉、「肥育ホルモン」の衝撃的な実態

日本人は「安い牛肉の現実」を知らなすぎる

平成27(2015)年度農林水産省の発表では、日本で消費された牛肉の60%が輸入牛肉だ(筆者撮影)
肉、魚、野菜――。こうした食品は、われわれが毎日のように口にするものだ。しかし、その安全性について、われわれはどれだけ正確な知識を持っているだろうか。実は、業界では「常識」であっても、一般に知られていないことがあまりにも多い。今回、東洋経済オンラインでは、そうした「食のリアル」について、業界に通じた山本謙治氏に連載してもらう。第1回は、米国産牛に投与されている「肥育ホルモン」についての衝撃の事実。
(編集部)

 

【表現の変更について】初出時に「成長ホルモン」という表記をしていましたが、正確には「成長促進を目的とした肥育ホルモン剤」であり、誤解を生む恐れがありました。そこで本文中にある成長ホルモンの表記をすべて肥育ホルモンに訂正しました(7月2日22時30分)。

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筆者は、野菜などの農産物と、肉や卵といった畜産物のマーケティングに関わる仕事をしている。ここ10年は特に牛肉に関する仕事が多くなり、また個人的に牛を所有(もちろん農家に預託しているのだが)し、自分の牛の肉を販売したりもしている。多くの牛肉産地と関わり、外国における肉牛生産の実情も見てきた。

その中で私が「輸入牛肉はちょっとなぁ」と思うその大きなポイントのひとつが、成長促進を目的とした肥育ホルモン剤である。

「肥育ホルモン」の正体とは!?

米国やカナダといった北米産の牛肉には、肉牛を育てる初期の段階で成長ホルモンを投与し、通常よりも短期間で身体を大きくするのが普通だ。私が米国の関係者に尋ねたところ「99%が肥育ホルモンを投与している」と回答した。この、米国では広く使用されている肥育ホルモンを危険視する人、いや人に留まらず危険視する国が多く、すでに国際紛争にまでなっている。

この件に関して、日本では単発的な報道は見られるものの、取り上げるメディアは多くはない。そこで、この肥育ホルモン問題に関して解説を試みたい。

ホルモンというと、焼肉屋でよく見かける牛や豚の内臓肉を思い出すかもしれないが、実際にはあれはホルモンではない。ホルモンとは、本来は生物の体内で生成される、特定の生理作用を持った物質だ。ホルモンバランスが崩れると体調や精神に影響が出ることが知られているように、生物にとってとても重要なものである。そこで、そのホルモンを抽出または合成し、それを投与することで、医療などの分野でさまざまな効果が得られるようになっている。

ホルモンには、成長を促進したり、肉の主たる要素であるタンパク質の生成を促進する作用を持つホルモンもある。こうした成長促進に関わるホルモン、つまり肥育ホルモンは畜産業において有用に働くことがある。たとえば、牛や豚、鶏や羊など、肉を食べるための家畜は、身体が大きくなってくれるに越したことはない。また、通常よりも早い期間で大きくなってくれるなら、餌代を削減できるので、これまたありがたい。

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