「銘柄鶏」と「国産若どり」の違いに基準はない

「逆偽装」して出荷する場合も

ブロイラーと銘柄鶏は何が違うのだろうか(筆者撮影)

前回は鶏肉の基本的な知識と、ブロイラーと呼ばれる「国産若どり」について述べた。今回はブロイラーの上の棚に置いてあることが多い「◯◯鶏」とか「健康◯◯鶏」といった、何らかの名前がついた、いわゆる銘柄鶏について。

銘柄鶏がどんなものなのかはよくわからないけど、きっと普通の若どりよりはおいしい鶏なんでしょう、と漠然と思っている人が多いだろう。銘柄鶏は国産若どりに、餌や飼い方に少し違いを出したものである。しかし、その「違い」に基準や決まり事はない。変な話、国産若どりと同じ育て方でも「◯◯鶏」と名前をつけて、あたかも特別な鶏のように販売することも可能だ。実際、養鶏業界関係者に聞くと、「銘柄鶏の9割以上がブロイラー品種を使っている」とのことだ。品種が同じであれば、餌の配合を変えるか、長く飼って肉質をしっかりさせてうま味を得るかのどちらかしかない。

ばらつきが大きい「銘柄鶏」

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だから、銘柄鶏が国産若どりと比べてどんな違いがあるかは、実際には食べ比べてみないとわからないというのが実情だ。筆者も仕事でさまざまな銘柄鶏を食べ比べる機会があるが、正直言ってばらつきが大きい。国産若どりと何が違うのかわからないようなものから、心地よい食感に、深いうま味を感じる銘柄鶏までいろいろあるのだ。

たとえば、岩手県二戸市に本拠を置く十文字チキンカンパニーというブロイラー大手生産企業がある。ここの製品に「菜・彩・鶏(さい・さい・どり)」という銘柄鶏があるのだが、これが秀逸なのだ。通常の配合飼料には、タンパク質として魚粉が入っていることが多い。魚粉は成長率もよくなるし、肉にコクが出るよい原料ではあるが、やりすぎると肉に臭みが出ることもある。十文字チキンカンパニーの菜・彩・鶏は魚粉や動物性タンパクをほんの初期のみしか与えず、ほとんどの期間を植物性の餌のみ配合して食べさせる。その分、カロリーが減るので長めに飼わなければならないのだが、時間がかかった分だけ味わいも増す。結果、臭みがなくクリアな味わいで、うま味も濃い鶏肉となっている。ちなみに菜彩鶏も抗菌剤不使用である。このように良心的な銘柄鶏は、国産若どりに比べ、はっきりと味わいの面で差別化できている。

最近のトレンドとしては、エゴマやオリーブなど、栄養機能性を有する原料を餌に添加したり、鶏の腸内環境を改善するような発酵飼料を与えることで臭みを消したりという取り組みで特徴を出したものが多くなっている。また、一般的な配合飼料に最も多く含まれる輸入トウモロコシの使用量を減らし、国産の飼料用米を与えているケースも増えてきた。米を与えると鶏肉の脂の色が白っぽくなり、味わいも淡麗なものになっていく印象がある。

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