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円が与えるものは、円が奪い去るーー。為替市場で円が2011年10月から2015年6月にかけて急落した際、日本の主な多国籍企業の利益は会計的に押し上げられた。しかし足元では円相場が急反発しており、幻の利益のかなりの部分は失われつつある。実際、2015年7~9月期からの3四半期で、輸出企業の多くの経常利益は減少してしまった。
日本の全上場企業でいうと、2016年1~3月期の経常利益は2015年4~6月期から16%減少。中でも製造業は同29%減少し、2003年の水準にまで落ち込んだ。国内市場に対する依存度が高い非製造業では、同期間で経常利益が約8%減少している。
顕著なのは、売上高利益率が同期間で約13%低下したことだ。その結果、企業には安倍政権が促している賃上げを認める機運が乏しくなり、日本の株価も低迷している。
円相場と株価の相関性は99%
日本の株式市場では外国人の売買シェアが6~7割を占める。その外国人は2015年、東京株式市場で3260億円売り越し、2008年の景気後退以来、初めて売りが買いを上回った。2016年1~5月、外国人はさらに4兆4000億円の売りに走った。これは2008年全体で売った額を超えている。株価低迷の要因は何より、外国人投資家による日本売りなのだ。
こうした企業利益や株価の変動において、円相場は重要な役割を果たしてきた。過去5年間、日本の主要貿易相手国の通貨に対する円相場と企業の売上高利益率の間には、95%という非常に高い相関性が確認されている。
なお、驚くべきことに、2011年1月以来の円相場と株価との相関性は、99%にまで達している。
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