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安倍政権は企業による投資の増加を通じて日本経済を向上させようとしている。しかし、日本の問題は投資が少ない点ではなく、投資効率が良くないことだ。
2011年に日本は、国内総生産(GDP)1ドルの創出に4.8ドルの資本(工場や設備、研究開発など)を必要とした。これに対し、米国は3.1ドル、比較的豊かな32カ国の平均は3.8ドルだった。
日本の短所は、KBC(知識ベースの資本)に最も大きく表れている。KBCは研究開発費、ソフトウェア、そして「経済的遂行力」で構成される。
日本企業のKBCへの投資はGDP比8.4%と、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち裕福な21カ国で5位だった。研究開発費の対GDP比は2.4%と3位、ソフトでは同2%と2位だった。
アップルとソニーの差
しかし、資本や人的資源、技術力などを収益にどうつなげたかを示す経済的遂行力は同1.8%と最下位から2番目。平均の3.1%をすら大きく下回った。これがトヨタとクライスラーや、アップルとソニーの違いを生み出しているのだ。
KBCが極めて重要なのは、成長をけん引する「全要素生産性(TFP)」の上昇につながるからだ。TFPは企業の生産性から人的労働力や設備、研究開発などの資本を除いたもので、技術上の進歩を示す指標とされる。OECD加盟国のうち13カ国の平均では、1996年から2007年まで労働者1人当たりGDP上昇率の約4割にTFPが寄与した。
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