日本株は本当に割安と言えるのか

日経平均1万円台定着の条件(2)

07年為替水準なら来年度主要企業の経常益5.5兆円増

日本株、とりわけ日経平均株価と切っても切り離せないのは為替だ。外国為替市場の関係者が注目している指標の一つに「IMMポジション」がある。米シカゴマーカンタイル取引所(CME)の国際通貨市場(IMM)で売買されている通貨先物の残高を示したもので、米商品先物取引委員会(CFTC)が毎週公表している。

それによれば、投機筋の円ポジションは昨年10月23日から売り買い差し引きで売り越しに転じ、同年12月11日には買い持ちが1万6369枚、売り持ちが11万0770枚で差し引き9万4401枚の売り越しと2007年7月17日以来、約5年5カ月ぶりの水準へ拡大した。

対ドル円相場は同時期に1ドル=120円台前半まで値下がりして底を打った後、昨年前半までは円高ドル安傾向が長期で続いた。投機筋による最近の円売り持ちの増加は、将来の円買い戻し圧力の高まりを意味するのか、あるいは一段の円安進行へのプロローグなのか…。

昨年11月中旬以降の日本株上昇は、円安に後押しされた側面が大きい。野田佳彦前首相が衆院解散、総選挙実施の意向を表明したのを機に、対ドル円相場は79円台から急落。年末には86円台と瞬く間に居所を変えた。

総選挙での自民圧勝も円安を加速させた一因だ。「白旗を掲げざるをえなくなった日銀」(市場関係者)のスタンスをめぐり、「“安倍首相の意をくみ、デフレ脱却へ向けてマネタリーベースをさらに増やす方向へ傾く”との見方が投機筋の間で強まった」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの五十嵐敬喜・執行役員調査本部長)ためだ。

円下落を受けて、株式市場では企業業績の上振れ期待が膨らむ。野村證券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストによると、07年度の主要企業の経常利益額は31兆円。一方、前11年度の対ドル円相場が今後2年間にわたって続くと仮定した場合、13年度の経常利益は25兆円にとどまるが、07年度の円相場が続くなら、13年度経常利益は5.5兆円上乗せされるという。

つまり、円高ドル安の進行がなければ、13年度の経常利益は07年度にほぼ肩を並べていた計算だ。

伊藤氏は「これまでの円高進行によって、為替換算調整勘定が目減りしていた」点にも着目する。同勘定は海外子会社などの財務諸表を為替換算する際に発生する差額のことで、バランスシートでは純資産の項目として計上。このため、円高になると純資産には毀損が生じるわけだ。逆に、円安に転じれば株価純資産倍率(PBR)の低下につながり、株価の割安感が高まる可能性もある。

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