アベノミクスは、国債市場の安定を崩すのか

市場動向を読む(債券・金利)

FRB(米国連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は、かつて、中央銀行が国債を買い続けて行けば、いずれ必ずインフレが起こると言った。政府債務の全てを中央銀行が買い尽くしてしまった状況を想像してみれば、財政支出の不足分を全て政府が銀行券を発行して賄っているのと実質的に同じ状況となるからである。そのような銀行券は誰も保有したがらなくなるはずなので、通貨の価値は歯止めなく下落し、大幅なインフレが起こるというわけである。

国債市場が漠然と抱き始めた危惧

今回の総選挙前に安倍自民党総裁は、「日本銀行は”無制限の金融緩和”を行うべきだ」と発言し、同時に「2~3%のインフレ目標を日銀は設定すべきだ」と主張した。”無制限の金融緩和”という表現は、FRBなどが使う「オープン・エンド」という言葉に対応するもののようだが、この言葉はあくまでも、期限を区切らずに市場から国債などを購入するという意味である。しかし、日本語で言うところの「無制限緩和」は、「国債を買い尽くす」というイメージを醸し出す表現である。

さて、総選挙が終わり、積極的な金融緩和を主張してきた安倍自民党総裁が首相に就任した。国債市場では、2%のインフレ率を達成するまで日銀は「無制限」に国債を買い尽くして行くことになるのではないかとの危惧を、漠然と抱き始めている。

これがなぜ「危惧」なのかという点については、11月27日の当欄においても述べたところである。すなわち、日本の金融機関、特に銀行は、いくら日銀の購入によって国債金利が押し下げられたとしても、基本的には、代替投資先を容易に見つけることはできず、その低い金利水準での運用に甘んじざるを得ないからである。

もし本当に日銀が国債を「無制限」に買い尽くせば、CPI(消費者物価)が大幅に上昇するような形でのインフレが自動的に起きてくるものなのだろうか?

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