福岡市の被災地支援は「自律」を徹底していた

市長が急いで公開、「赤裸々レポート」の全貌

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被災地では、避難所運営支援システムを通じて、派遣された職員間でつねにやりとりがなされた

地震発生当初、避難所では職員が物資に関する電話対応に追われ、それでも物資がうまく届かない状況が散見された。そこで、福岡市からは同システムについてのレクチャーを受けた職員を被災地に派遣、スマホで物資要請を入力、誰がいつ届けるかまで確認できるようにした。LINEグループを作って避難所同士の連携も図り、必要な物資を届けたと報告している。

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こちらはPC版避難所一覧画面

「ICTを活用することで、物資に関するマンパワーを大幅に削減することができ、被災者に対する細やかな支援や相談業務など、本当にマンパワーが必要なところに貴重な人材を振り向けることができるようになる」。高島市長はそう指摘している。

レポートの中にはボランティア関連の項目も設けられている。被災地のボランティアセンターは車以外ではアクセスしづらい場所にあるうえ、人材の割り振りに時間がかかるといった運営面の課題があった。その結果、必要な地域でのボランティア不足も発生していると、同レポートでは指摘されている。

今後は「風評被害の解決」などが課題に

初回の「ボランティアバス」の定員は早々に埋まった

福岡市はここでも「自己完結型支援」にチャレンジしている。事前に現地ニーズとのマッチングを行い、福岡市から熊本の被災地に直行する「ボランティアバス」を運行。現地に向かう車内でチーム分けや業務のレクチャーを行うことで、現地スタッフの手間を省き、効率的に活動できるというものだ。5月15日の第1陣募集枠40人は早々に埋まり、今後もバスを運行する予定だ。

このほかにもレポートでは、被災地で問題視されていた「ゴミ処理」についてや、「災害支援・復旧に関わる指揮体制の再構築」「平時から支援・受援を想定した訓練」「風評被害の解決に向けた積極的な取り組み」など、これから重要になるであろう項目についても触れている。

最後には、今回の経験を踏まえ、高島市長自身が感じた課題などが総括されている。福岡市は1カ月で延べ3000人を超える職員を被災地に派遣しており、今後は「退職した職員の活用についても検討していきたい」(高島市長)。そのうえで「有事にこそ信頼される行政を全国的に確立するために、そして、今回の震災の教訓を次代の震災対応に活かしていくために、多少でも役に立つところがあれば」と結んだ。

今回のレポートは、今後どのように活用されていくのか。地震発生からレポート作成前後のエピソードも含め、高島市長本人に聞くことができた(以下、高島市長インタビュー)。

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1976年に創業し、90年代の渋カジブームを牽引したビームスが今も元気だ。創業以来赤字知らず。40年、最先端を走り続けられる秘密は何か。設楽洋社長への独占インタビューを掲載。