消費増税「再延期」をするべきではない理由

経済学的に見た、正しい消費増税の考え方

3月に行われた自民党の党大会における安倍晋三首相。ここでアベノミクスの成果を強調した(撮影:尾形文繁)
消費税の税率は、来年(2017年)4月に現在の8%から10%に引き上げられる見込みだ。しかし、消費や設備投資の停滞を受け、先送り論(延期論)が浮上している。4月に起きた熊本地震や、急速に進む円高も、先送り論を勢いづかせる。消費増税をどう考えたらよいか。増税再延期に反対する斉藤誠・一橋大学教授の寄稿を紹介する。

首相の発した言葉の重み

新聞報道などによると、来年4月に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げを延期することが政府内で検討されているそうです。この消費税率引き上げは、そもそも昨年10月に予定されていた増税が来年4月に延期されたものなので、今回は、再延期の検討ということになります。

安倍首相は、2014年11月18日、最初の消費税増税延期について国民に信を問うとして衆議院の解散を正式に表明しました。首相は、その記者会見において次のように発言しています(太字は筆者)。

財政再建についてお話しいたします。社会保障・税一体改革法では、経済状況を見て消費税引き上げの是非を判断するとされています。今回はこの景気判断条項に基づいて、延期の判断をいたしました。
しかし、財政再建の旗を降ろすことは決してありません。国際社会において、我が国への信頼を確保しなければなりません。そして、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たしてまいります。安倍内閣のこうした立場は一切揺らぐことはありません。
来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています。

 

再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします」という首相の言葉は、重要な政策課題に関わる発言として大変に重たいものだと思います。消費税増税再延期の議論には、首相の発した言葉の重みよりもさらに重大な何ものかがあるのでしょうか。

政権が公約を違えてまで消費税増税の実施を延期しようとすることに対して、一般の人々は必ずしも強く反対しているわけではないように見えます。多くの人々は、消費税増税に対して漠然とした不安を持つ一方、消費税増税に代わる政策に対して何となく期待を寄せているように思います。

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