東芝、国から迫られた「賠償金12億円」の顛末

防衛事業をやり続ける必要があるのか

東芝本社。同社の売り上げのうち0.9%が防衛関連事業だ(撮影:尾形文繁)

あまり大きく報じられていないが、3月10日、注目すべき裁判の判決があった。東芝が製造した防衛関連機器が要求性能を満たしていなかったため国に対して12億円の損害賠償をしろ、という東京地裁の一審判決だ。いったい、これはどういう争いなのか。そして問題の本質はどこにあるのかを見ていきたい。

防衛省は航空自衛隊の旧式化した偵察機RF-4の後継機として、主力戦闘機F-15J、15機を偵察機するために改修事業を計画。このために防衛省は2007~09年度に、偵察ポッドの試作を123億円で東芝と契約。また三菱重工と、F-15Jの機体改修について63億円で契約し、既に改修を終えている。

だが防衛省は東芝が開発した偵察装置の性能不足などを理由に改修自体をキャンセルした。東芝は国に対して123億円の損害賠償を求め、国側も三菱重工に発注したF-15Jを偵察機にするための改修費用12億円の損害賠償を求めて東芝に反訴していた。東京地裁は3月10日、東芝が製造した装置は要求性能を満たしておらず、納入中止は東芝の責任だとして、東芝に約12億円の支払いを命じた。

東芝の責任といえるのか

だが、東芝に責任を押し付けるのは無理がある。そもそも、この偵察ポッドの国内開発・国内生産自体の必要性が極めて怪しいものだったからだ。

わずか15~20セットしか調達しない偵察ポッドを無理やり国内で開発・生産する必要性はなかった。開発費を頭割りすれば1セット当たりの開発コストは高くなるし、そもそも量産効果も期待できないので生産コストも高くなる。どう考えてもコスト面で引き合うはずがない。

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