安全保障関連法案、成立後も残る5つの課題 自衛隊は多国籍軍に参加するのか

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富士総合火力演習の予行演習を行う自衛隊(8月18日撮影:ロイター/アフロ)

安全保障関連法の改正案は9月19日未明、参議院で可決され成立したが、その後にいくつかの課題が残っている。今回は、その課題について考えていきたい。

日本国内の問題、国外の課題に分けて考えていく。国内については2つ、国外については3つだ。まず日本国内からみていこう。

自衛隊の予算は増額されるのか

第1に、自衛隊の任務は大幅に拡大したが、それに応じて、自衛隊は強化されるのか。防衛省としては、当然、予算の増額を要求するだろうが、それを実現することは簡単でない。最大の問題は、改正法案の審議過程でしばしば現れた、法律の内容と政府側の答弁の食い違いだ。

改正法では、自衛隊の活動範囲は日本の領域と「周辺地域」に限られず、世界に広がったので、それに応じた措置を講じると巨額の予算増と大幅な人員増が必要になる。

一方、政府は、自衛隊が海外へ派遣されるのは極めて限定されたケースだ、他国の領域に派遣されることはないなどと答弁しており、その方針によれば予算と人員の大幅な増加は必要でないということになる。今後、予算と人員の決定はどちらを基準に行なわれるのか。

また、予算の関係では、5年間の防衛予算の総額について一定限度の枠が設定されている。具体的には、中期防衛力整備計画(2014年度~18年度)で防衛費の総額をおおむね23兆9700億円の枠内に抑えることになっている。しかし、法改正の結果として日本が予算を大幅に増加すれば国際的に注目されるし、国内でも新たな争点になりうる。

一方、仮定の話だが、改正法にしたがって自衛隊を強化できなければ法律は絵に描いた餅になる。

第2点目が「憲法違反」というやっかいな課題だ。

次ページ憲法違反の疑いが濃く、国民からは厳しい視線
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