すぐ「退職」をちらつかせる女性に言いたい! 慰留前提の交渉は、長い目で見て損になる

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繰り返しになりますが、「○○なら辞めます!」とか条件を出すようなやり取りは、やっぱり本当の最終切り札です。若いうちから何度も使っていたら「狼少女」になってしまう。そしてカードを出すたびに、少しずつ、「そういうやつだよな」と人としての評価も落としているかもしれない。長く働き、大きな責任のある仕事をやるようになれば、「○○は嫌です! それなら辞めます」なんて人事でゴネるとか、すぐに退職をちらつかせるなんてこと、できなくなります。

入社1、2年くらいで、「辞めちゃおうかな」と簡単に口にしてしまう人は、離職率の低減目標を持っている会社の誰かが、必死に慰留している対象なだけで、この先もずっと「会社にとって必要で重要な人」であるとは限りません。採用だって育成だって、使うコストや時間、パワーは会社にとっては大きな投資そのものです。そういった企業の経済活動のベースや利害を理解せず、「辞める」をちらつかせる彼女たちのデリカシーは、残念としか言いようがないと私は思います。自分のその言動で、女性全体、または若手全体の印象や地位を貶めてしまうことだってあるわけですしね。

長い目で見れば、得はしていないはず

なんだかめちゃくちゃ厳しくて激しいことばかり書いてしまいましたが、つまり、あなたの同期女性たちのうち、あなたが「うまくやってるふうに見える」と思っている人たちは、長い目で見れば、決して得はしていないはずだと私は思います。正直にまっすぐ仕事に向かい、そこでもがいて闘いながら、必死に成長し続けている人たちが、結局はちゃんと得をするんだと思いたい。

おかしいと感じてもやもやしても、「あらら」とスルーできるくらい、あなたは目の前の仕事に没頭して成長してください。政治的に手に入れた人事なんて、所詮そんなもの。実力が評価され期待されて任される大きなミッションほど、うっとりするものはないのです。お互い、不器用に愚直に働き続けて、最後の最後に大笑いできるように頑張りましょう。こういう気持ちのときの呪文は、やっぱり、「人は人! あたしはあたし!」で不変なのかもしれないですね。

 

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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