野村克也氏「40代監督に"俺の野球"はあるか」 心配なラミレス、優しすぎる高橋由伸

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一方で、セは昨季2位に終わった巨人の逆襲に期待している。

「やはり本命は巨人でしょう。昨季だって、主力選手が軒並み打てない中でも2位に入った。もともと投手力のいいチームだし、新人の重信慎之介や2年目の岡本和真をどこまで辛抱強く使えるか。このあたりは高橋監督の我慢のしどころかもしれない。

それにしても、マイルズ・マイコラスを見ていると思うのだが、複数年契約を結んだ選手はダメになっていく。『複数年の選手はハングリーさがなくなっていく』と昔から言われていることだが、それでも同じ過ちを繰り返す。今年のマイコラスはアテにしないほうがいいかもしれないね」

ヤクルトには不安要素

昨季、14年ぶりにリーグ優勝したヤクルトには、不安要素が多いと見ている。

「抑えのトニー・バーネット、勝利の方程式の一角だったオーランド・ロマンが抜けたのは大きい。打線は水ものといわれるように、昨季活躍した山田哲人や畠山和洋、川端慎吾らが同じような活躍ができるかと言えば、それだって保証はできない。

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ヤクルトの連覇を期待するなら、選手たちが『絶対に日本一になってやる』と昨年、日本シリーズで負けた悔しさを晴らしたいと思えているかどうか。私も92年にリーグ優勝したものの、日本シリーズは西武に負けた。そのときの悔しさがあったからこそ、93年はチーム一丸となってリーグ連覇、日本一を達成することができた。

ここ最近は11年のロッテ、13年の日本ハム、14年の楽天と、優勝した翌年に最下位になった例もある。今季は真中満監督の腕の見せ所ですよ」

Bクラスに終わった広島、中日は若手次第だと、野村氏は話す。

「広島は前田健太が抜けた15勝をどうやって埋めていくか。中日は山本昌、和田一浩、小笠原道大ら大ベテランが抜けて、新陳代謝をはかっている時期。若手選手が『オレが、オレが』と活気づいていかないと、上位進出は難しいだろうね」

最後に今季のプロ野球の注目点に聞いてみた。

「今季からコリジョン(衝突)ルールが適用され、本塁上での捕手へのブロック禁止になる。各球団とも対策は練っているようだが、捕手よりも走者有利のこのルールによって、得失点の結果が大きく変わるかもしれない。

12球団とも優勝に向けて一丸となって長いペナントレースを乗り越えてほしいものだね。今年も熱い戦いを期待している」

小山 宣宏 スポーツジャーナリスト

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こやま のぶひろ

出版社、編集プロダクション勤務を経て、2007年に独立。近年はプロ野球を中心とした取材・原稿が多い。『実は大したことない大リーグ』(江本孟紀/双葉社)、『日本人投手がメジャーで故障する理由』(小宮山悟/双葉社)、『野村の「監督ミーティング」』(橋上秀樹/日本文芸社)などの書籍を手掛ける。現在は楽天の松井稼頭央選手の書籍(ベースボール・マガジン社より今春刊行予定)を制作中。
 

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