就任1年で優勝、ヤクルト真中監督の采配術

「3本の矢」は、なぜ成功したのか

選手の起用、采配に冴えをみせた真中満監督。負けに慣れていた選手の意識を変えることに成功した(写真:スポーツニッポン新聞社)

史上空前の混戦といわれたセ・リーグを制したのは真中満新監督率いるヤクルトだった。

優勝目前。日に日に増える報道陣にも指揮官は心を包み隠さなかった。
「相手を気にせずに自分たちの戦いをしたい」と言った後に「でも、それはきれいごとだよな。絶対に気になるし、ライバル球団が負けてくれれば、よしって思うよね」。

「どんな形でもいいよ、優勝できるのなら。新幹線の中だっていい」「ストレスで体重が減ると思ったら増えちゃった」「内心ドキドキだよ。選手に悟られないか心配だよ」―――。新人監督はどこまでも自然体だった。

選手にはとにかく自分で考えさせた

日大から1993年ドラフト3位でヤクルトに入団。野村克也監督率いる黄金時代は主力外野手として活躍した。2007年には、シーズン代打起用98回、31安打で代打の日本記録をマークした。引退後は2軍打撃コーチ、2軍監督とステップアップ。13年にはイースタン・リーグ優勝に導き、昨年1軍チーフ打撃コーチへ。指導者としての実績を着実に積んできた。

昨年まで2年連続最下位。監督就任時に「優勝を目指します」と話したが、優勝までのビジョンをどう描き、負けることに慣れてしまっていた選手の意識をどう変えたのか。

その答えは、コーチ時代から一貫した姿勢にある。

「自主性を大切にしてもらう。自分で考えるのは、本当はいちばんきつい。でも、自分で考えないとコーチの指示を待つ選手になってしまう。そしてチャレンジャーであり続けること。これが基本です」

今季、打率3割3分6厘で首位打者を獲得した川端も言う。

「監督は2軍の時から、自分で考えろと口酸っぱく言われていました。自分がどういう選手になりたいのかと。そのための練習についても、自分で考えて納得してやらなければ意味がないと」

次ページ絶妙なタイミングでチームを引き締めた
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