上場企業には「不祥事対応の原則」が必要だ

日本取引所自主規制法人・佐藤理事長に聞く

東芝は特設注意市場銘柄に指定されている。写真は2015年5月15日、田中久雄前社長による不適切会計に関する最初の記者会見(撮影:尾形文繁)
上場企業の管理、上場審査などを担っている日本取引所自主規制法人はこのほど、「上場企業における不祥事対応のプリンシプル」を策定した。不祥事発生時の対応の仕方を原則として、上場企業に示したといっていい。策定の意味と期待する効果について、佐藤隆文・同理事長に聞いた。

 

――なぜ、このタイミングで不祥事対応のプリンプルを策定したのでしょうか。

このところ、上場企業の不祥事が目立ってきていたという状況がある。それも日本を代表するような企業で起きている。

まず、上場企業としての業務成績や財務状況について迅速、かつ、正確に投資者に対して情報を提供するという情報開示の品質が落ちている。これは重大なケースだ。資本市場の在り方に直結するだけに、取引所としても直接的に対応しなければならない。実際、最近の事案では当該企業を特設注意市場銘柄に指定した。

また、個々の上場企業が顧客に提供する製品・サービスの品質そのものにかかわる問題も発生した。規制当局の設定した品質基準から規制逃れするようなケースである。意図の有無に限らず、トータルで見れば規制逃れという結果につながっている。これらは資本市場における開示報告などで不正をしていたわけではなく、必ずしも、取引所の狭い守備範囲に入ってくるものではない。

しかし、だからといって、そのような事案を取引所として放置していてよいのかという問題意識を我々は強く抱き、いずれのケースにもまたがる共通の行動指針、行動規範のようなものを共有できないのかと考えた。

毀損した企業価値を早期に修復して欲しい

――プリンシプルの基本的な考え方は。

いま述べた後者のケースではそれぞれ、規制当局がしっかりとフォローすることが重要だが、その一方で、不祥事が起きると、必ず、当該企業の企業価値が毀損される。将来にわたって、広い意味のステークホルダーからの信頼を失う。相当に大きな企業価値のダメージとなっていくはずである。つまり、前者のケースと共通している。

取引所市場に上場している企業の業績が向上し企業価値が高まることは、市場全体の活力、信頼性を増進していくうえできわめて重要だ。不幸にして、不祥事が発生した場合には、個々の企業が主体的に問題を特定し、原因を解明し、そのうえですみやかに再発防止策を策定し、迅速、かつ、確実に実行する。これが何よりも大事。それによって、毀損した企業価値を着実に、かつ、できるだけ早期に修復してもらう。その際には自浄作用を発揮してもらう。

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