アジアが成長を続けるために必要な4つの策 中国の成長が減速した今、考えるべきこと

✎ 1〜 ✎ 210 ✎ 211 ✎ 212 ✎ 最新
拡大
縮小
今年の中国全人代では、2020年まで5年間の経済成長目標を従来よりも引き下げた(写真:ロイター/Damir Sagolj)

原文はこちら

アジアは新たな局面に入っている。アジア地域の国内総生産(GDP)合計が世界全体に占める比率は1990年に25%だったが、現在では約40%まで上昇しており、世界の経済成長への寄与度は約3分の2に達している。

加えて、1990年に55%だったアジアの貧困率は2010年に21%に低下。教育と医療の面で大幅な進展が見られる中で、数億人の生活が改善されてきている。そして将来を見据えれば、アジアは年平均5%の成長を続け、世界の景気拡大をけん引すると考えられている。

中国の成長鈍化で大打撃も

しかし今日、アジア経済は新たな困難に直面している。先進諸国の成長が陰りを見せて世界の金融市場でリスク回避姿勢が強まり、商品相場のスーパーサイクル(高騰局面)が終わろうとしている状況下で、世界経済はアジアの成長にほとんど活力を与えられずにいる。

同時に、中国は成長率の鈍化を示唆している。中国とアジアとの結びつきがとりわけ強固になっていることからすれば、この影響は絶大だ。中国の景気停滞は、アジア全体の成長にブレーキをかけてしまうだろう。

アジアで明白になり始めた新たな難局の中で、我々はこの地域の深く長期的で構造的な課題を見失ってはならない。日本や韓国、シンガポール、タイのような国では高齢化や人口減が成長を押しとどめ、財政にも負担がかかっている。

次ページ大胆な行動で難局に対処を
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT