外国人エリートが驚く日本の大学の「特殊性」 留学生を震え上がらせる部活文化

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留学生が感じる「特殊性」とは(写真 :route134 / PIXTA)

「観光立国」を目指している日本では今、訪日外国人が激増中だが、増やそうとしているのは観光客だけではない。政府が2008年に打ち出した「留学生30万人計画」では、海外からの留学生の数を2020年までに30万人に増やすことを目標としている(2014年5月時点では約18万人)。その実現に向けた方策のひとつが、「国際化拠点整備事業(グローバル30)」。英語での授業の拡充など大学側が留学生の受け入れ体制を整えることを目的としており、これまでに東京大学や大阪大学など13校が導入している。

私自身も現在、東大に通う留学生のひとりだが、日本の大学の授業や大学生生活は、留学生の目にはどう映るのだろうか。私がこのことを考えるきっかけとなったのは昨年夏に、米イェール大学のサマーセッション参加したことだった。

外国人留学生が驚く「部活文化」

私は東大では科学を専攻しているが、イェール大の1カ月間に及ぶサマーセッションでは金融論と演劇論を受講した。その間、私は同大学の学生寮に滞在。授業や寮生活などを通じて、東大の経済学部や北京大の経済学部、イェール大の理学部、香港大の法学部などさまざまな国の学生たちと出会い、友人になることができた。わずか1カ月とはいえ、自国のぬくぬくした環境から飛び出す意欲や、グローバルな舞台で活躍したいという共通の目標を持つ彼らと過ごした時間は、とてもかけがえのないものとなった。

日本に暮す海外留学生の多くは、日本の大学の「特殊性」を少なからず感じているが、今回イェール大で授業を受けたり、多くの学生と話したりするうちに改めて日本の大学が、海外の大学とどう違うのかという点が明確になってきた。

日本で学ぶ留学生の多くが驚くことのひとつは、部活文化で、一部の留学生はこれに溶け込むのは難しいとすら感じている。毎日のように練習とミーティングを重ねる学生たちを見て、留学生たちは「日本の学生はどうやって勉強と私生活と部活のバランスをとっているのか」と不思議に思っているのだ。私が知る限りでは、部活によっては同じ寮に住むことを求められ、毎日のように練習があったり、週末ごとに試合があったりするケースもある。一部の学生は勉強より、部活動に費やす時間のほうがずっと長い。東京大学に通うカナダ人留学生のビル・フェンさんに言わせれば、「まさに狂気の沙汰」だ。

さらに、厳しい上下関係に加えて、夏休みや冬休みにも練習やミーティングがあるという「密度の濃さ」は留学生にとっては驚きでしかなく、部活への参加をためらわせる。結局、こうした文化になじめない留学生たちが集まって、独自のコミュニティを大学内に形成しているわけである。

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