オラクルは"クラウド王者"アマゾンに勝つか ナンバーワン戦略を掲げる杉原社長を直撃

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クラウド事業について熱心に語る杉原社長。シスコシステムズや日本HPなどに勤務した経験を持つ
ITシステムの構築におけるコスト優位性や運用の簡易さで、業界に大きな変革をもたらしているクラウドコンピューティング技術。2020年には、IT投資の3割がクラウド関連になるとの予測もある。オンプレミス型(自社で保有するサーバーなどの設備をベースに運用する方式)のデータベースソフトで5割のシェアを誇っているオラクルも、クラウドでのサービス展開を本格化している。
クラウド化の流れは、ビジネスモデルにどう影響するのか。また、現時点で先行するアマゾン、マイクロソフト、セールスフォースなどに対して、後発のオラクルはどうシェアを奪っていくのか。「2020年にクラウドで国内No.1」との目標を掲げる日本オラクルの杉原博茂社長に聞いた。

 

ーー足元の日本企業のIT投資の状況は?

これまで投資を抑えてきた日本企業だが、これから国際競争に勝ち抜く上でIT投資を増やしていこうという機運を感じている。日本の上場企業の売上高は、ようやくリーマンショック前の水準に戻ってきた段階だ。ここからさらに収益力を高めるために、ITを活用しようと判断する経営者が増えている。

クラウドは大幅な成長が見込まれる

ーー直近の16年5月期の中間決算では、収益柱であるデータベースソフトなどのライセンス販売が対前年比でマイナスとなっている。

懸念する必要はない。中間期の段階では、前年に特需があった反動で微減となっているが、システムの更新需要も増えており、通期でみればライセンス販売を伸ばせるとみている。また、まだ規模が小さいものの、育成中のクラウド事業は前年同期比で15.8%の増加となっている。

ーー国内のクラウド市場の成長をどう見ているか?

日本は少子高齢化で生産性を上げる必要があり、そのためにはクラウドの活用が不可欠だ。現在、日本のIT市場全体は14兆円規模で、年間で1~2%の成長率となっている。

現時点でクラウドが占める割合は小さいものの、調査会社IDCの予測によると、20年には国内のITインフラ投資の約3割以上がクラウドになるとしている。さらに、ソフトやサービスに限れば、4割以上がクラウドになるという。

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