スズキ社長、「泣くのが仕事のような段階だ」 "俊宏"節は、実父の修会長とは一味違う

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カリスマ経営者の後を引き継いだ鈴木俊宏社長、企業風土の改革を迫られている(撮影:今井康一)

「以前より副社長として経営に参加してきたつもりだが、社長としてあらためて感じたのは、あちらこちらに課題が山積みで一筋縄には解決できないということ」

2015年6月末に、実父である鈴木修・スズキ前社長の後を引き継いだ鈴木俊宏社長。就任から半年間、経営全般を語る場面はあまりなかったが、1月21日に開催された小型車「イグニス」(2月18日発売)の発表会に先立って行われた記者会見では、経営課題や今後の方向性などを語った。

指示待ちの風土を変えていく

「課題の根底には、4輪と2輪、海外と国内、技術と営業、生産と技術など縦割りになっていることがある。長年のトップダウンに慣れて指示待ちが多い」と、社長交代会見でも述べていた課題を挙げた。それらを打破するために、「社内に横串を刺して、チームスズキとして活動できるように企業風土を変えていかないといけない」と強調した。

具体的な施策として、社長と部課長クラスとの昼食会をすでに10回以上開き、ざっくばらんな場で現場の声を聞いてきた。また、56歳の社長と同世代の本部長を中心とした経営戦略会議を週1回開催。ここでもなるべく意見が出るように「けしかけている」という。

現在も会長として残る鈴木修会長(85)は、社長、会長、社長兼会長と37年間に渡り、スズキのトップに君臨してきた希代のカリスマ経営者だ。各部門は常に修会長を見ていた。それを変えていくには地道に旗を振っていくしかない。この先、組織の見直しも出てくる可能性があるが、当面は必要に応じて組織横断のプロジェクトを立ち上げるなどで対応していく。

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