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「読む人の心が痛む」漫画を描く男の激情人生 人気作は「20年間の引きこもり」から生まれた

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  • 村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
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新井さんは、そうして29歳の時から外に出るのをやめてしまった。マンションから出るのは週に2回コンビニに行く時くらいで、後はひたすら事務所に閉じこもって漫画を描いた。

新井英樹は作家としてのブランドイメージを作るために人と会わないんだって、と言われることもあったが、内情はぜんぜん違った。そんな引きこもりの生活は50歳まで、実に20年間も続いた。『愛しのアイリーン』『ザ・ワールド・イズ・マイン』といった新井英樹を代表する作品はそういう環境で生まれたのだ。

「そう言えば『愛しのアイリーン』の途中で子どもが生まれた。子どもが生まれたから丸くなったって言われるのが嫌で人が死にまくる『ザ・ワールド・イズ・マイン』を描いた(笑)」

連載終了から16年が経った今でも、いまだに傑作、怪作としてもてはやされる『ザ・ワールド・イズ・マイン』だが、決して順調な連載ではなかった。

新井英樹作品の特徴

新井英樹作品の特徴のひとつに、物語がどこに向かっているのか、主人公が何をしようとしているのが、なかなかわからない、というのがある。

漫画教室などでは、「1話目でどのような物語で、主人公が何をしようとしているかわかるように描きなさい」としつこく指導されるのが一般的だ。目的がわからないままの物語を読むのは、とても疲れるからだ。疲れる漫画に読者はつきにくい。

「俺は物語がどこに行くかわからない話が好きなんだよね。たとえば『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(ジョン・ル・カレ)とか。数時間読んでも何をしてるか全然わからない。でも途中からどんどんわかってきて、ぐんと面白くなる。そして、最後はすごい感動する。そういうのを描きたいんだ」

しかし残念ながら読者はついてこなかった。連載2~3回目で編集者から「新井さん、今回の連載は失敗です」と言われた。

それでも続けていたが、5~6巻あたりから本格的な打ち切りの話が出た。

「『ザ・ワールド・イズ・マイン』の延命策は大変だった。担当の編集者と編集長に何度も頼み込みに行った。最後まで描き上がったら、そこそこの傑作にはなるはずだから、続けさせてください!!って頭を下げた」

そうして続けていた作品だったが、ついに打ち切りになった。ただし、その時は新井さんの作品だけが打ち切りになったわけではなかった。

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【漫画を続けられなくなることのほうが心配だった】

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