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前回の筆者の記事では台湾統一地方選挙の情勢が与党有利の方向に大きく転換したこと、特に国民党の地盤として知られる台北市で民進党候補が急速に追い上げていることを解説した。今回は、絶好調の台湾経済が選挙にどう影響するか、与野党が「バラマキ合戦」に陥るのかどうかという視点から解説したい。頼清徳総統が2025年のリコール闘争敗北から統治戦略を立て直してきたことも選挙の要因の1つとして見ておきたい。
成長率10%超と絶好調の台湾経済
台湾経済はいま絶好調だ。26年の実質経済成長率は台湾政府の見通しで11%、IMFの見通しで10.7%という驚異的な数字が出ている。経済成長を牽引するのはAI関連(半導体、サーバー、電子部品)の輸出と民間設備投資で、台湾は世界的なAIブームの中で躍進を遂げている。
台湾の株式市場も急上昇した。代表的な株価指数である台湾加権指数(TAIEX)は長い間1万ポイント台にあったが、2024年3月に初めて2万ポイントを突破した後、26年1月には3万ポイントを突破、そしてこの10月には5万ポイント目前まで上昇した。10月末にやや下落したが、株価指数は頼政権発足から2年半で約2倍に上昇した。
26年の台湾の1人あたりGDPはIMFによると4万3950米ドルになると予測され、日本の同3万5400米ドルを大きく上回る。企業業績と株価の上昇で台湾政府の税収も好調だ。
支持政党によって市民の間で景況感にも違い
では、台湾の人々は高成長を実感しているのかといえば、必ずしもそうとはいえない。台湾の世論調査の定番に、市民が経済の現況をどう評価しているかの調査がある。それによると、台湾ではかなり長い期間、経済の現況は「よい」と見ている人より「よくない」と見ている人が多かった。台湾においては景況感も支持する政党によって見方が異なる。与党民進党の支持者は「よい」と見ている人が多く、野党の国民党や民衆党の支持者は「よくない」と見ている人が多い。
物価の上昇で生活が苦しくなったと考える人は多い。実質賃金の伸びは1~2%程度で、経済成長率とはだいぶ差がある。生活必需品の価格上昇は多くの人が感じている。近所の店の牛肉麺やタピオカミルクティーの値段が上がっているのに、収入があまり増えなければ、「何%成長」という統計の数字を実感できないというのもうなずける。
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