そもそも会見が開かれる前の段階で、熊谷社長はSNSで炎上騒ぎを起こしていた。不正アクセスによる被害が問題になっている最中の10月27日、熊谷社長は自身のXで国際刑事警察機構(インターポール)に相談したことを報告し、そのロゴを背景にした笑顔の自撮り写真を投稿した。翌28日にも、東京大学で講義を行ったことを報告する際に笑顔の写真を掲載した。顧客の個人情報や資産に深刻な被害が発生している最中に、経営トップが楽しそうな写真を公開することに対して、「不謹慎」「無神経」といった批判が相次いだ。
さらに、GMOの陸上部への影響を懸念する一般ユーザーの投稿に対して、熊谷社長が「爆笑 陸上部には何の影響も無し。選手達の士気は寧ろ高まっていると報告を受けてるよ」と返信したことも問題視された。深刻な被害が発生している状況で「爆笑」という言葉を使ったことには、経営者としての危機意識が欠けているのではないかという疑問の声が上がった。
熊谷社長は10月29日にSNSで謝罪し、会見でもこれらの投稿について被害者への配慮が欠けていたと認めた。SNSでの言動によって、熊谷社長は被害者の立場や気持ちを十分に理解していないのではないかという不信感が高まっていた。だからこそ、今回の会見では、軽率な言動を反省し、経営者としての責任に正面から向き合う姿勢を示す必要があった。
ところが、実際の会見では、自分がいかにインターネットを愛し、顧客を大切にしてきたかという話ばかりが繰り返され、質問に対しても自身の信念や経営理念を持ち出して説明する場面が目立った。もともとSNSを通じて彼に不信感を抱いていた人々は、その不信感をさらに強くすることになった。
なぜ自己陶酔的な振る舞いをしてしまう?
熊谷社長のSNSでの言動と謝罪会見での振る舞いには共通点がある。自分が何を考え、どのような信念で行動しているのかを積極的に伝えようとする一方で、それを受け取る側がどう感じるかについては、十分に想像できていないように見えることだ。
SNSで笑顔の写真を載せたのも、本人にとっては犯罪者に屈しない決意表明のつもりだったのかもしれない。しかし、被害者にとっては、自分たちの苦しみを理解していないようにしか見えない。同様に、会見での涙や熱弁も、本人にとっては誠実さの表現だったのかもしれないが、視聴者には自己陶酔的な振る舞いとして受け止められてしまった。


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