『mentor』の出演オファーは、末澤誠也が24年春にAぇ! groupとしてデビューする前のジュニア時代だったという。
末澤には、監督がキャスティングの際に参考にしたという『彼女と彼氏の明るい未来』(24年)という深夜ドラマの主演経験があるが、そのほかは主役ではなく、空気の読めない職場の若手社員といった役どころも多かった。決して俳優としての経験値が豊富なわけではない。
それにもかかわらず、今回は、ファン以外からも末澤の演技には絶賛の声が多い。作品の評価や映画の興行成績を見ても、このキャスティングは大成功だったわけだが、何がハマったのだろうか。
「暗い目をして、暗い芝居ができる」と森田剛を起用
わかりやすくするために、監督が前回(といっても10年前だが)、STARTO(当時はジャニーズ事務所)アイドルのタッグを組んだ『ヒメアノ~ル』と少し比較してみたい。
『ヒメアノ~ル』は内容はもちろん、当時V6のメンバーだった森田剛が猟奇的な連続殺人犯の役を演じるという意味でも衝撃作だった。公開当時、吉田監督は筆者のインタビューに、キャスティングの理由をこう答えている。
「本当の意味で森田剛くんを知っていたから、キャスティングできたのかもしれない。森田くんの良さって、暗い目をして、暗い芝居ができることなんだよ」(※2)
基本的には明るく歌い踊るというイメージのあるアイドルに対して「暗い目をして、暗い芝居ができる」と評することは、役者としての最大の賛辞を送っているとも言える。
と同時に、「本当の意味で知っている」と語っているように、これはその表層ではなく、森田の本質を見抜いたコメントでもある。アイドルを色眼鏡で見ていないキャスティングであることはもちろん、アイドルをしてキラキラしているとき以外の、人間としての本質に触れた人の言葉だ。


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