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ライフ #神童だったあの子の今

「高卒で働いていた元神童」父が他界して家計に余裕がなくなり…新聞配達→ニートを経て《33歳で東大合格》した背景

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30歳になってから東大受験を始めた青戸さん
30歳になってから東大受験を始めた青戸さん(写真:青戸さん提供)
  • 新倉 和花 東京大学法学部卒・麻雀プロ
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そんなとき、東大を志望する高校3年生が入塾してきた。

それまでの教室では、高校受験の指導が中心だったが、ほかの講師と協力して指導体制を整え、青戸さんも英語の過去問分析や添削などを担当した。しかし、その生徒の東大進学はかなわず、別の大学へ進むことになった。

生徒も保護者も感謝してくれた。進学後も教室に遊びに来て、長期休暇にはアルバイト講師として助けてくれたこともあった。関係が悪くなったわけではない。むしろ、感謝されたからこそ、自分の指導は十分だったのかという思いが残った。

「自分が責任者として自信を持って主体的に関われなかったことが、非常に心残りだったんです」

大学受験の経験がないため、教材選びや学習計画について、踏み込んだ助言ができなかった。聞きかじりの知識で生徒を混乱させてはいけないと思い、ほかの講師に任せた部分もあった。

勉強を教えることが好きだった一方、大学を出ていない自分が信用を得られるのか不安も感じていたといいます(写真:青戸さん提供)

本人によれば、受験への思いは、その一件だけで突然生まれたわけではない。教えるなかで、自分も勉強しなければという気持ちが少しずつ積もっていた。その生徒との出会いが、決断を後押しした。

30歳で正社員を辞め、東大受験を決意

30歳で正社員を辞め、同じ教室でアルバイト講師として働きながら、東大を目指すことにした。生徒のためという理由だけではなかった。本気で勉強したら、自分はどこまで行けるのか。大学では、どんな授業が行われているのか。知らない世界への好奇心もあった。

当初は、1年で合格するつもりだったという。受験を決めると、携帯電話を解約し、車も売った。費用を抑えるとともに、自分を勉強へ向かわせるためでもあったという。

だが、生活を変えても、毎日机に向かえるようになるわけではない。

生徒に教えるための予習なら取り組める。しかし、自分のための勉強は、やらなくても自分が困るだけだ。そこで、最初は数学の簡単な計算を、ごく短い時間だけ解くことにした。本人の回想では、1日1問から始めたという。もっとできそうでも、そこで終わりにする。

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