絵奈「ここの更地が売りに出されたときは『奇跡が起きた!』と驚きました。視界にバーンと宝塚大劇場が建っていて、歩いて行けるほど近い。さらに阪急電車の線路脇なので電車も見える。『私のような宝塚ファンのために選ばれた土地じゃん!』って」
まるでスポットライトに照らされているかのように特別感がある土地。家づくりの工事が始まった。そして絵奈さんはふと「この家で、民泊ができたらいいな」とひらめく。
絵奈「それまで自分が民泊をするなんて発想はなかったのですが、コロナ禍をきっかけに宝塚歌劇ファンが語り合える宿泊施設がなくなってしまって、寂しく思っていたんです。私が遠征民だったころ、全国から訪れるファンたちと深夜まで話した時間はとても貴重でした。次第に『あの夜は楽しかったな』『あんな交流の場が蘇らないかな』と思い出す機会が増えちゃって……」
学校と幼稚園のすき間にあった奇跡の土地
絵奈さんが「民泊ができたらいいな」と感じた理由は他にもある。兵庫県では、学校や幼稚園・保育所などの敷地周囲100m以内は住宅宿泊事業の制限区域となっている。ところがこの土地は学校や幼稚園の周囲100mより、ほんの少しずつ区域外にあったのだ。
絵奈「ギリギリセーフでした。学校と幼稚園のギリギリ真ん中にあった土地なんです。『もしかしたら宝塚歌劇ファンのために民泊ができるかもしれない』と」
しかし、民泊を運営するには、かなりハードルが高いさまざまな手続きが必要だ。ここで絵奈さんの過去の経験が役に立つ。
絵奈「北海道に住んでいたころ、町役場に勤めていたので、複雑な手続き方法や難解な法令を読み解くことができたんです」
いよいよ、晴れて開業の運びとなった「サザンクロス」。幸運がステージでラインダンスをしているかのように連なった結果である。
絵奈「書類を保健センターへ提出したら『あ、必要なものが全部そろっちゃいましたね!』と驚かれました。自分でもハードルを乗り越えられたことを信じられなかったです。改めて『推しへの情熱があれば、やり遂げられるんだ』と思いました」

