絵奈「『CASANOVA』(カサノヴァ)(作・演出/生田大和 作曲/ドーヴ・アチア)という作品で、水美さんは主人公である冒険家のカサノヴァと行動をともにするバルビ神父を演じました。この作品のなかで『人は望めば誰もが自由になれる』という内容のセリフがあって、雷に打たれたような衝撃を受けたんです。そして『私ももっと自由になっていい。私は水美さんの本拠地である宝塚市へ引越したい!』と」
18世紀のヴェネツィアを舞台に、稀代のプレイボーイであるジャコモ・カサノヴァの恋と冒険を描いたオリジナル・ミュージカルは、絵奈さんの胸の内に秘めた冒険心にも火をつけてしまった。とんだプレイボーイである。
とはいえ、北海道の居住は夫の希望であったはず。夫婦仲睦まじく暮らしたお気に入りの一軒家を、簡単に手放せるものだろうか。
一寿「北海道には永住するつもりでした。しかし、年齢も重ねるうちに積雪がしんどくなってきたんです。雪かきがたいへんで……。それなので、宝塚市への移住に反対する気持ちは、まったくなかったです」
移住について、つねに息がぴったり合う二人。インターネットを通じて宝塚市での家探しを開始した。
一寿「それこそ本当にSUUMOのサイトで探しました」
絵奈「SUUMOのサイト、毎日めっちゃ見てたよね」
宝塚市で、初めに住まいに選んだのが、団地だった。
一寿「敷金・礼金が要らない団地を見つけまして」
絵奈「宝塚市で水美さんのディナーショーがあって、泊まりがけで夫と一緒に行ったんです。ディナーショーが素敵すぎて、私は魂が抜けてしまってもぬけの殻だったのですが、夫が翌日『内見に行くぞ』って私を引っ張っていって。そして部屋を見て気に入って、すぐに決めたんです。謎のタイミングというか、移住する運命を感じましたね」
2020年、北海道を後にして、宝塚市で団地住まいをスタートさせた岩瀬夫妻。一寿さんは神戸を走るタクシーの運転手に。絵奈さんはホテルスタッフとして働きながら休日は宝塚大劇場へ通った。共働きでお金を貯め、続いて中古マンションを購入。少しずつ、住居のグレードをアップさせていったのである。
楽しかった「宝塚歌劇ファンが語り合える宿泊施設」を再現したい
宝塚市へ移住して3年後の2024年、二人はいよいよマイホームに着手する。団地住まい、中古マンションの購入ときて、岩瀬夫妻が3軒目に選択した新築一戸建て。きっかけは、まるで宝塚大劇場へ続く花道のような、すごい土地との出合いがあった。

