他人の言葉を面白がることと、その言葉に傷つくことは必ずしも矛盾しない。『俺のこと、なんか言ってた?』の高瀬川も、世間から認められることを強く求めながら、誰からも忘れられた現実に打ちのめされる人物だ。
善悪だけでは割り切れない物語
宮藤自身と高瀬川の心理をそのまま重ねることはできない。それでも、周囲の評価を求めながら、芳しくない反応には傷ついてしまうという矛盾は、本作を読み解くひとつの手掛かりになる。
市井の人の言葉に耳を傾け、演劇や映画から受け取った刺激を別の物語へと再構成する。宮藤の創作は、そうした経験の積み重ねに支えられている。人が持つ弱さや滑稽さを、善悪だけでは割り切れない物語へと変えていく。
言葉や振る舞いを面白がる感覚と、評価から逃れられない弱さ。その両方に目を向けることで、宮藤が創作する物語がより立体的に見えてくるのではないだろうか。


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