次に登場するのは、1866年にロシアに生まれパリで医学を修めた外科医セルジュ・ボロノフだ。
30歳でエジプトに渡って宮廷医となり宦官を診察した経験から、精巣は生殖のみでなく全身の活力維持になんらかの作用を及ぼしているのではないかと考えるようになる。
フランスへ戻り、後に「血管縫合および臓器の移植に関する研究」でノーベル生理学・医学賞を受賞するアレクシス・カレルに移植法を学ぶ。かなり王道のキャリアである。
若いチンパンジーやヒヒの睾丸を高齢男性の睾丸に移植
ブラウン・セカールの研究や自身の経歴などからヒントを得て、若いチンパンジーやヒヒの睾丸を薄くスライスして高齢男性の睾丸に移植するという研究を1920年に開始した。
そんな移植片はすぐに拒絶されてしまうので、どう考えても効果などあろうはずがない。にもかかわらず、「元気になった」、「頭が冴えた」、「若返った気がする」などという評判が相次ぎ、数百人に施術されたらしい。富裕層がメインターゲットだったのでボロノフは大金持ちになったとか。
しかし、客観的な裏付けがない、移植した精巣組織が生着した所見がない、といった批判が相次いで、1935年以降には人気が急速に衰えていく。主観的な効果ばかりだったし、これもプラセボ効果であった可能性が高い。
こういうのって主観的な効果が出やすいんですかね。高い金を払わされたからか、あるいは、けっこう痛いからかもしらんなぁ。ようわかりませんけど。


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