実は亀山薫は、海外でのボランティア活動のために一度警察を辞めている。それがseason7のことだ。そして約14年の時を経たseason21で再登場し、再び右京の相棒になった。人気刑事ドラマはほかにもあるが、このようなかたちで主人公級の刑事が復帰するケースはきわめてまれだろう。
だからこの原点回帰の流れを見て、少なからぬファン、とりわけ初期からずっと『相棒』を見てきたファンは、「これで『相棒』も大団円に向かうのか」と思ったのではあるまいか。そして物語的な興味として、『相棒』がどのような結末を迎えるのかについて考えを巡らせていたのではあるまいか。しかも今回のseason25は、数字としても節目。どうなるのか身構えていた面もあるだろう。
ところが、案に相違して、相棒交代のニュースが届いた。肩透かしを食らったような気持ちになった人もいるかもしれない。きれいな着地という意味で、先ほどあげたSNSの投稿にもあったように、「亀山薫で終わらせてほしかった」と改めて思った人もいるだろう。
亀山薫と神戸尊 好対照の2人
ここでいったん亀山薫と神戸尊を比べてみよう。
歴代の相棒は4人いる。
初代、そして現在の5代目相棒が亀山薫。1つ飛ぶが、3代目相棒が甲斐享(成宮寛貴)、4代目相棒が冠城亘(反町隆史)。そして2代目相棒が今度6代目になる予定の神戸尊である。
このうち、最も対照的だったのが亀山薫と神戸尊と言えるだろう。
薫は典型的な熱血刑事。こうと思ったら猪突猛進で、それが裏目に出て失敗することもある。だが情に厚く、正義感もとても強い。かつて右京とバディを解消したのは、子どもたちに「本当の正義を教えるため」に、外国でボランティア活動に打ち込むことを決意したからだった。
杉下右京は東大卒のキャリアで、常に沈着冷静。どんな小さな手がかりも見逃さず、超絶推理力で真犯人を導き出す。要するに、薫とは正反対だ。
“動と静”というバディものの刑事ドラマに典型的な設定である。だが正義への強い思いに関しては右京も同じで、2人はやがて名コンビになった。
そして薫が海外ボランティアとして警察を去った後、season7最終話から登場したのが神戸尊だった。
尊は、警察庁の官僚。警視庁にノンキャリアで入ったが、優秀な仕事ぶりを買われて「推薦組」として警察庁に異動したという設定だ。
薫とは異なり理知的で、スマート。一言で言えばクールである。「お言葉ですが」が口癖で、当初は捜査現場も未経験だったため、右京とも反りが合わなかった。


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