しかし、ここが早稲田なら話は別だ。
「早稲田だから成立する名前ですよね。ほかの場所だったら、あまり美味しそうには見えないと思います(笑)」
まさに、土地の文化をそのまま店のブランドにしている。
用意した100杯が売り切れる日も
営業開始後の反響も大きかった。オープン初日から行列ができ、春には月間130万円ほどを売り上げた時期もあったという。1日に用意するのは約100杯分で、調子のいい日には売り切れることもある。
面白いのは、売上が大学のスケジュールにかなり左右されることだ。特にテスト期間になると学生が一気に増える。逆に、授業がない時期や天気の悪い日は客足が落ちる。
「テスト期間になると、学生がどっと来るんです。売れ行きを見ていると、みんなちゃんとテストを受けているんだなという実感があります(笑)」
大学職員にも常連客がいる。研究室で食べるために持ち帰る学生も多い。
油そばはラーメンと違って汁がないため、テイクアウトしやすい。キャンパスから出る時間がない学生にとっては、構内で食べられること自体が大きな価値になっている。
さらに、かつての早稲田の油そば文化を知る世代からすると、現在の光景は少し意外でもある。
以前は油そばといえば男子学生中心という印象が強かったが、いまでは女子学生も普通に列に並ぶ。サークルの打ち上げでみんなで油そばを食べに行く、といった光景も珍しくないという。
「今はもう、その場にいるみんなで行くイメージがあります」
「石油王」にも女性客は多い。細麺で食べやすく、軽めに食べられるメニューもある。早稲田の油そば文化そのものが、時代とともに変化しているのだ。
現在、田代さんは3年生。就職活動も始まり、将来についてはまだ決めていないという。
「石油王」を法人化する構想もある。一方で、このビジネスに興味を示す企業から声がかかったこともあるという。田代さん自身は、飲食業が好きではあるものの、必ずしも「一生ラーメンをやる」と決めているわけではない。


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