最近は友人が経営するバーでも働き始めた。キッチンカーでは商品を渡す瞬間しかお客さんとコミュニケーションが取れないが、カウンターの店ならもっとお客さんと話せる。その面白さにも気づいた。
それでも、「石油王」の未来には、少し夢のある話もある。
後輩が店を引き継ぎ、早稲田大学の新しい食文化になっていくかもしれない
「2代目、3代目と後輩に継いでもらって、18代目石油王くらいまでいったら面白い」
学生が卒業して、後輩が店を引き継ぎ、またその後輩が次の世代に渡していく。そうなれば、「石油王」は一人の学生が始めたキッチンカーではなく、早稲田大学の新しい食文化になっていくかもしれない。
「軽油」「レギュラー」「ハイオク」の先に、さらに新しい油が生まれている可能性もある。
何より面白いのは、学生2人の「油そばを食べたい」というシンプルな思いから始まった話が、土地を探し、法務局で所有者を調べ、大学と交渉し、商品を開発し、実際に100杯以上を売るところまで来ていることだ。田代さんの粘り強さがなければ、ここまでたどり着かなかっただろう。
そして同時に、大学側が「前例がないからダメ」で終わらせず、学生の熱意を受け止めたからこそ、この店は生まれた。
「学生が大学構内で商売をする」というその言葉の響きだけを聞けば、ずいぶん自由な話に思える。しかし、その自由を実現するには、学生自身の行動力と、それを受け止める側の懐の深さが必要になる。「石油王」は、そんな早稲田らしさを象徴するお店なのかもしれない。
油そばを食べに行ったはずなのに、食べ終わったあとに残るのは、妙に爽やかな学生たちのバイタリティと、「やりたい」と言えばまず動いてみる早稲田という場所の面白さだった。



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