「ここで平日毎日お店を出していいですよ」
まさかの許可だった。
田代さん自身も驚いたという。しかも、最終的には学生による出店ということで、出店料は無料になった。
「学生のよしみということで、無料でやらせてもらっています」
この条件は、学生が飲食店を運営するうえで非常に大きい。
通常、キッチンカーの出店には売上の一定割合を出店料として支払うケースが多い。もちろん原価もかかる。学生向けにできるだけ安く商品を提供しようとすれば、利益を出すのは簡単ではない。だからこそ、大学側が場所を提供し、しかも出店料を無料にした意味は大きい。
学生の「やってみたい」という熱意に、大学側が応えたというのは凄いことだ。
そして、田代さんの行動力に負けず劣らず興味深いのが、加藤さんによる商品開発だ。
ラーメン食べ歩きが趣味の加藤さんが好きな店の一つが、東京・落合の「児の木」。そこで提供される「和え玉」が好きで、そのスタイルを油そばの商品開発のヒントにした。
キッチンカーでは提供スピードも重要になる。茹で時間の長い太麺では回転率が上がらない。
そこで、細麺を使いながら、油そばとして満足感のある一杯に仕上げるにはどうすればいいのか。試作を重ね、現在の形にたどり着いた。
「油」から広がった秀逸なネーミング
基本となる「レギュラー」は醤油味。そこから「軽油」「ハイオク」とメニューが広がっていく。
「軽油」はオリーブオイルを使い、より軽やかでさっぱりした味わい。「ハイオク」は開発中だが、味噌ベースにバターを合わせ、よりリッチな方向を狙っているという。
そして、このネーミングこそ「石油王」の最大の特徴だ。
油そばだから「油」。早稲田には「給油」「油田」といった文化がある。そこから「石油王」という店名が生まれ、「軽油」「レギュラー」「ハイオク」といったガソリンスタンド風のメニュー名へと展開していった。
冷静に考えれば、飲食店の名前として「石油王」はかなり攻めている。「軽油を一杯ください」「ハイオクでお願いします」と言われても、普通のラーメン店なら何のことか分からない。


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