「みんなご飯が大好きなんです。せっかくなら一人で行くより、仲間を募って行ったほうが楽しいと思って」
その食への熱量が、やがて一つのビジネスにつながっていく。
田代さんがサークルを離れた後、そこで一緒だった仲間の一人、加藤さんと「何かやろう」という話になった。そこで出てきたのが、油そばのキッチンカーだった。
理由は明快だった。早稲田大学の文系キャンパス周辺には油そばの店が多い。一方、理工キャンパスのある西早稲田周辺には、それほど選択肢がない。
「こっちももちろん早稲田生なので、油そばを食べたい。でも供給がない。それをどうにかしたいという気持ちがありました」
そこで2人は、キッチンカーを借り、商品開発を始めた。
しかし、問題は「どこに出すか」だった。最初から大学構内に出店できたわけではない。むしろ、大学側から簡単に許可が下りる状況ではなかった。
駐車場の土地の所有者は早稲田大学だった
田代さんは、まず大学周辺の土地を探した。ある駐車場を見つけ、運営会社に連絡すると、「会社としては問題ないが、土地の所有者の許可が必要」と言われた。
そこで普通なら諦めるところだが、田代さんは土地の所有者を調べるため、新宿の法務局まで足を運んだ。登記を調べると、所有者はなんと早稲田大学だった。
ならば、大学に直接話をしよう。そう考えた田代さんは、大学の財務課などに話を持ち込んでいく。ところが、大学としても前例がほとんどない。学生が構内で継続的にキッチンカーを営業するというケース自体が珍しかった。
「前例がないので、もし僕らに許可を出したら、ほかにもやりたい人が殺到したらどうするんだ、という話もされました」
さらに、手続きには数カ月かかる可能性もあると言われた。それでも田代さんは引かなかった。
もともと野球部だったこともあり、「ダメと言われるほど頑張りたくなる」という反骨精神があるという。
「壁は越えてこそ、みたいな気持ちがありました」
すでにキッチンカーを契約していたため、後戻りもしにくい。いわば背水の陣だった。
そんな中、田代さんが大学側と交渉を続けていると、ある日突然、大学から電話がかかってきた。


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