逆に、飼うことが負担になり、関係がぎくしゃくすると、犬側のストレス指標が上がってしまいます。ここからわかるのは、ただ触れればいいというものではないということです。
動物学の永澤たちの研究によると、犬と目を合わせたとき、オキシトシンが双方で増加することが確認されています。著者も飼っている犬のつぶらな瞳を見るだけで、とても温かい気持ちになって癒やされるのを実感しています。
「動物を飼っている人は心が穏やかだ」というのは単なる印象だけでなく、オキシトシンという物質が介在した、科学的な現実でもあります。ペットを飼えない環境の方でも、動物カフェや公園で犬と触れ合う機会を作るだけで、同様の効果が期待できます。
「頑張り」ではなく「ぬくもり」で
オキシトシンは、努力で増えるものではありません。
頑張って感動しようとしても、義務感でハグしても、オキシトシンは生まれません。オキシトシンを増やすのは、本物のぬくもりを感じたときだけです。温かい飲み物を両手で包む。柔らかいものに触れる。大切な人の声を聞く。自分の胸にそっと手を当てる。ペットの背中を撫でる。誰かと並んで歩く。
どれも、特別なことではありません。それでも、続けることで身体は確かに変わります。
これらの積み重ねが、固体のように凍った身体を、少しずつ温めていきます。すると身体の境界線が溶け始め、他者と混ざり合える「液体」へと変わっていくのです。
オキシトシンは心臓を温める良薬で、その処方は人とのつながりの中にしかありません。ドーパミンは燃料で、オキシトシンは温度。この2つが揃って初めて、人とのつながりはあなたを本当に満たしてくれるでしょう。



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