勉強には、成果がすぐには見えない時間もある。何の役に立つのかわからないまま、覚えたり、読んだりしなければならないこともある。けれど岡田さんは、「解けなかった問題が解けた」という変化を、楽しみとして受け取れた。しかも、解けない問題に出会っても、落ち込むことはなかった。むしろ喜んだという。そこには、これから解けるようになる楽しみが残っているからだ。
難しい問題は、自分の能力の限界を突きつけるものにもなりうる。岡田さんにとっては、まだ自分が知らない解き方に出会う入り口だった。その受け止め方が、勉強を続ける力になっていたのだろう。
テストが待ち遠しくて眠れない
岡田さんは、受験のプレッシャーを感じたことがないと振り返る。テストの前日には、翌日が待ち遠しくて眠れなくなるほどだった。そして親が勉強を細かく管理しなくても、模試では偏差値70を取った。
友達との付き合いも、勉強や模試の延長線上だったという。「この解法のほうが速い」「その発想はなかった」。同じ問題を解いていても、違う道筋を考える人がいる。その違いを知ることまで、楽しみの一部だった。
受験勉強には、出題範囲があり、試験日があり、答え合わせがある。何をすればよいかが比較的はっきりしていて、できるようになったことも確かめやすい。岡田さんの好奇心は、そうした仕組みの中でよく働いた。
第一志望で、いわゆる「御三家」と呼ばれる中学に進んでからも、学校生活は「むしろ楽しかった」という。
周囲には、勉強に取り組む友達がいた。成績が良ければ先生に褒められ、休み時間には友達と問題を出し合う。岡田さんにとって、その空気は居心地が良かった。
並行して通った、東大受験のための塾である鉄緑会についても、彼はこんな言葉を使う。
「鉄緑会は、自分にとっては部活みたいなもんだったんですよ。宿題は多いし大変なんですけど、みんなやるのが前提で、わからない問題があると普通に相談できる。授業も面白い。終わったあとに喫茶店で解法の話をするのが、なんか青春っぽかった」


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