魅力に限れば、さらに速い。顔を見たと意識できないほど短い、わずか0.013秒しか見せなくても、人は顔の魅力を、ある程度判断できた、という実験がある(※9)。まばたきよりずっと短い時間で、「魅力的かどうか」の判定は、すでに始まっているのだ。
さらに、信頼できそうかどうかは、顔が怒っているように見えるか、幸せそうに見えるかに、強く左右される(※10)。顔の造作よりも口角や目元といった“表情”の見え方が、印象を大きく動かすのだ。
「顔を変える」前に「見え方を設計する」こと
見た目戦略の基本は、「どう見られたいか(インサイト)」を決めてから、「どう見せるか(アウトサイト)」を設計することだ。
筆者が資生堂時代に手がけたデオドラント製品「Ag+」は、「銀イオンの殺菌力」を銀色のボトルで表現し、大ヒットした。この考え方は、人の顔にもそのまま使える。
他人が見るのは、会話の距離で動く実像である。だとすれば、設計すべきは、まず次の4つだ。表情(口角と目元)、角度、距離、光。
たとえば自撮りは、腕を伸ばした近距離より、もう少し離れて撮るだけで、歪みは小さくなる(※4)。
見た目の設計とは、顔を作り変えることだけでなく、自分と他人の2つの視点の距離を縮めることでもある。
この「視点の距離を縮める」技術を、いちばん長く磨いてきたのがメイクだ。メイクは、左右の差を整え、視点の距離を縮めることができる(※5)。


※ログイン後、コメント入力が可能です。