那珂川市の川俣純子市長と那珂川町の益子純恵町長は今年の衆院選で渡邊氏を支援したため、予算を削減されたという“相関関係”が読み取れる。また、自民党籍を持つ川俣氏と大田原市の相馬憲一市長は、2月の衆院選後間もなく渡邊氏を支援したことで党紀委員会にかけられ、県連から戒告処分を受けている。
大田原市では簗氏が1万4173票で渡邊氏が1万3936票と、簗氏が237票多かったが、市長の相馬氏は簗氏と対立の関係にある。その因縁は22年3月の市長選までさかのぼる。
当時の現職は大田原市長3期目の津久井富雄氏で、簗氏の後援会連合会長を務めていた。津久井氏は初出馬した際に「市長職は3期12年」と公約を掲げたが、「やり残した政策を実現したい」と4期目に挑戦。相馬氏ら3人の新人候補は、基金の減少など財政問題を争点とした。前出の地元関係者は「津久井さんはお金を使いすぎた」と耳打ちする。
にもかかわらず、市長選の1カ月前には、大田原市が例年350万円の補助金を付けていた「屋台まつり」の予算が50万円に削られた。屋台まつりの実行委員長が相馬氏の後援会長だったことから、相馬陣営は「報復」と受け取った。
そして、結果は相馬氏が1万0049票を獲得し、9860票の津久井氏を189票差で下したが、驚きはそれだけではなかった。新人候補3人の得票数の合計は約2万票となり、津久井氏の得票の2倍にのぼったのだ。
26年3月22日に行われた大田原市長選では、相馬氏は1万5480票を獲得し、8673票の引地達雄氏を6807票差で下した。市議を6期22年務めたベテランの引地氏には、簗氏ばかりではなく、前市長の津久井氏や元市長の千保一夫氏も応援についていた。
政治ゲームに興じる政治家たち
こうしたことを考えると、26年度予算の社会資本整備総合交付金をめぐる今回の簗氏の“恫喝”は、選挙区を制するための方策だったのだろう。問題は、予算を削減される地域の住民への考慮がない点だ。
例えば、那須烏山市は栃木県で唯一過疎法の対象である自治体で、インフラ整備のために社会資本整備総合交付金も活用されうる。それを大きく削ろうとした者は、はたして住民の生活に思いを馳せたのか――。
今回の騒動で見えるのは、政治家たちが自分の地位とメンツのためにひたすら政治ゲームに興じる姿だ。国民主権や民主主義は、いったいどこに行ったのか。


※ログイン後、コメント入力が可能です。