なぜ、これほどまでに生活コストと住宅価格が跳ね上がっているのか。背景にあるのは、アメリカ本土からの外部資本が投機的な目的で島に流入し続けてきたことがある。
「ハワイも沖縄と同じく、限られた土地と資源しかない島です。アメリカ本土のように西へ西へと土地を開拓・拡大していくことはできません。かつて外部の投資家や大資本がハワイに足を踏み入れたその日から、地元の土地と暮らしを守る闘いは続いています」
近年、ラナイ島やカウアイ島をはじめハワイ各地で、ヘッジファンドやプライベート・エクイティ(未公開株ファンド)、州外の富裕層(ビリオネア)による不動産や農地の買い占めが急増した。
Forbes誌の調査報道は、ハワイにおける超富裕層の土地所有の実態を次のように報じている——。
37人の富裕層が私有地の1割超を占有
「フォーブスがハワイ州の不動産登記記録を数カ月にわたり追跡・調査した結果、わずか37人の超富裕層(ビリオネア)がハワイ州の民有地の11.1%(約21万8000エーカー)を所有していることが判明した。
オラクル創業者のラリー・エリソン氏がラナイ島の約97%(約8万7800エーカー)を所有するほか、Metaのマーク・ザッカーバーグ氏がカウアイ島に1450エーカー、オプラ・ウィンフリー氏がマウイ島に2000エーカー以上を所有するなど、ハワイ総人口のわずか0.003%に過ぎない37人が、私有地の1割超を占有している実態が浮き彫りになっている」
「有限な島で1エーカーでも買収が行われれば、周囲のすべての不動産価格が跳ね上がり、地元の子どもたちが家を買えなくなる」とトクダ氏は指摘する。
こうした状況に拍車をかけているのが、気候変動による自然災害だ。2023年のマウイ島山火事では、火災をきっかけに1000人超の人口流出が発生した(UHERO調査より)。生活基盤を失った住民への不当な買収工作や住宅価格の高騰が続き、元の住民が故郷に戻れなくなる深刻な現実が浮き彫りになった。
そして、このインタビューが行われた1週間前には、155年ぶりといわれる大型ハリケーン「ララ(Lala)」がハワイ島に接近した。取材当日もハワイ周辺に複数のハリケーンが停滞していた。相次ぐ自然災害は、外部資本の土地買い占めと同じく、地元住民が土地を追われる懸念を、より現実のものにしている。
「嵐で作物が丸ごと奪われたり、海面上昇による塩害で、先祖がカヌーで島に持ち込み代々私たちを養ってくれたタロ芋やバナナすら育たなくなっています。それに猛暑による電気代の暴騰も重なって、人々の暮らしは本当に限界に達しています」


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