実際、高市首相の国連演説を受けて、中国外務省の郭嘉昆報道官は23日、「日本の現政権は侵略の歴史を否定するだけでなく、再軍事化を加速し、地域の平和を脅かす突出した要因となっている」と厳しく批判。さらに「(旧敵国条項は)再び軍国主義が国際平和の脅威となることを防ぐため、重要な現実的意義がある」と真っ向から対決する姿勢を見せた。
高市首相はなぜ中国を怒らせる発言を行ったのか。それは内閣支持率のアップを狙ったためだろう。なお、高市首相は国連演説の前にトランプ大統領と約35分間会談し、中国についての意見交換という準備を怠ってはいない。
そもそも今回の日米首脳会談は、24日に予定された米中首脳会談の内容をうかがうために日本から申し込んだものだった。
会談の前に各国のプレスの前で、高市首相は9月の内閣改造でアメリカに関わる4人の大臣を留任させたと満面の笑みでトランプ大統領に報告した。これについてトランプ大統領は高市内閣の高支持率に触れ、「大変すばらしい成績を残している。歴史に残るだろう」と賛辞を送り、良好な関係を示して見せた。
ただ、高市首相はにこやかにトランプ大統領に「ドナルド」と呼びかけたが、トランプ大統領は高市首相を一度もファーストネームで呼びかけなかった。しかも、ほとんど無表情だった。
日本側の通訳が高市首相の発言を超えて「プレスは退出してください」と述べたのは、ホワイトハウスからCNNなどメディアを追い出したトランプ大統領に対するちょっとした“ご愛敬”だったが、それに応じてトランプ大統領は「聞いただろ」と手で追い払う仕草をした。そして、このとき初めて、トランプ大統領は破顔した。
高市首相が手を振った「相手」とは誰か
それにしても、中国に関してトランプ大統領は、つねに高市首相の味方なのか。その答えは、習近平主席が国賓待遇で11年ぶりのアメリカを訪問したときに明らかになった。
習主席と彭麗媛夫人は現地時間23日、ワシントンD.C.近郊のアンドルーズ空軍基地に到着。トランプ大統領はメラニア夫人とともに2人を出迎えた。大統領が外国の要人を空港で出迎えるのは1962年以来64年ぶりで、その厚遇ぶりがよくわかる。
これに対して、21日夜にニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に到着したとき、高市首相は飛行機から出て、大きく手を振った。正面から撮影された映像では、あたかも大勢のアメリカ側の歓迎に応えているかに見えたが、高市首相の背後から広報官が写した写真には、手を振る先に人はいなかった。まるでプロモーション映像を見せられているような気分になる。
もっとも、日米首脳会談のために訪米した習主席と、国連総会に出席するために訪米した高市首相を同一に考えることはできない。だが、高市政権は2027年度概算要求で内閣広報費として前年度の7億円からほぼ10倍の72億円を計上するなど、「いかに見せるか」に注力している。それを成果につなげるには、金額では計りきれない戦略が必要だろう。


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