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ライフ #再開発されない街

自由が丘の再開発が進む一方で昔の姿のまま…世田谷区でも指折りの"ハイソな街"「九品仏」にタワマンが立たない理由

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九品仏駅
世田谷区の「九品仏」はなぜ再開発されないのか?(写真:筆者撮影)
  • 坪川 うた ショッピングセンター研究家・ライター
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ただ、九品仏でも駅の改札口が踏切に挟まれている点が危険な箇所となっている。

九品仏駅は改札を出て目の前に踏切がある(写真:筆者撮影)

九品仏駅では開通当初より電車の車両が増えたが、ホームの両端に踏切が存在し、延伸ができなかった。そのため、電車の一部のドアを開けないドアカットが実施されている。かつて東急は、車両通行禁止にしてホーム延伸を行おうとしたが、地元から反対があり実現しなかった。

九品仏駅ではホームの長さが足りず、一部のドアが開かない。東急線でドアカットが行われているのはここだけだそう。筆者は初めて出会った(写真:筆者撮影)

しかし今年3月に世田谷区と東急電鉄が「東急大井町線九品仏駅周辺の安全対策に関する覚書」を締結し、「改札前滞留空間の拡充」と「ホームの延伸」に向けて動き始めている。

必要なところにだけ手を加える街

九品仏の駅前が再開発されない理由は、大きく4つであると分析した。

1つ目は浄真寺とその周辺に風致地区がかかっていること。2つ目は近くに幹線道路が通っておらず、交通拠点性が低いこと。3つ目は一大商業地である自由が丘がすぐそばにあり、商業地として発展しなかったこと。4つ目は、およそ100年前から始まった耕地整理で整えられた街区のおかげで、再開発のきっかけになるような危険性を抱えていないことだ。

九品仏には再開発を阻む条件があり、反対に再開発を必要とする条件はないのである。

危険な場所として残っていた駅周辺についても、選ばれたのは街全体を作り変える再開発ではなく、改札前とホームという限られた範囲の整備である。

自由が丘では再開発が次々と進んでいる。その隣で九品仏は、浄真寺の緑と低層の街並みを残したまま、必要なところにだけ手を入れていく道を選んだ街なのである。

【前編】「ニコタマみたいなタワマンは皆無」「しかし邸宅が多数存在」…世田谷区内でも実は「隠れた高級住宅地」の街の実態
参考文献
東京都世田谷区『新修世田谷区史 上巻』1962
東京都世田谷区『新修世田谷区史 下巻』1962
桜井正信『武蔵野 歴史と風土』1966
佐藤博之、浅香勝輔『民営鉄道の歴史がある景観2』1988.7
三田義春『世田谷の地名 区域の沿革・地誌・地名の起源 下』1989.3
藤井武夫、本間利夫『東急沿線文学散歩』2000.6
玉川総合支所道路・交通計画部『東急大井町線九品仏駅前踏切の安全対策について』2026.7.3

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