一方で、初入閣した7人は総務相・文科相・農水相・国交相・環境相・デジタル相・規制改革担当相といった、官房長官や外相、財務相と比べると平時のメディア露出が少ないポストに集中している。閣僚として入れ替わった人数は多くても、国民が日常的に目にする“顔”の大部分は変わっていない、という状態だ。
人は「平均値」で全体の印象をつくる
なぜ、入れ替わった人数の多さがそのまま“変わった”という印象につながらないのか。
手がかりになるのが、印象形成に関する心理学の古典的な知見だ。人は複数の情報から全体の印象をつくるとき、情報を「足し算」で積み上げているわけではない。目立つ情報は印象を大きく左右し、目立たない情報はほとんど影響しない。
つまり、印象は情報の「合計」ではなく「目立つものを軸にした平均値」として形成される。そのことは実験的にも示されている(※1)。
集合写真や閣僚名簿という情報のかたまりも同じように処理されると考えられる。7人の新顔が加わっても、最も見慣れた・最も露出の多い顔(木原官房長官、茂木外相、片山財務相、小泉防衛相)がそのまま残っていれば、全体の印象はその見慣れた顔に強く引っ張られる。
新顔の情報が“足し算”されて全体の印象を押し上げるのではなく、見慣れた顔の重みに“平均”が引き寄せられてしまうため、人数のうえでは大きな入れ替えがあっても、パッと見の印象は「代わり映えしないもの」になりやすい。
政治家の見た目をめぐっては、「有権者はわずか0.1秒で候補者の“有能さ”を直感的に判断し、その判断だけで実際の当選者の7割前後を言い当てられる」という有名な研究がある。


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