2006年の米国上院・知事選挙を対象にした実験では、2人の候補者の顔写真をわずか0.1秒見せただけの被験者による直感的な判断が、上院選で72.4%、知事選で68.6%の的中率で実際の当選者と一致した。しかもこの正解率は、0.1秒・0.25秒・無制限時間のいずれで見せても変わらなかった(※2)。
ただし、この研究はいずれも「1対1」、つまり2人の候補者の顔を比べさせる実験である。今回の閣僚集合写真のように、19人が一枚に写る“集団”の写真に対しても、同様の瞬間的な判断が働くかどうかは、この研究だけではわからない。
「骨格を維持」という高市政権の戦略が裏目に…
ここで参考になるのが「アンサンブル知覚」と呼ばれる、別の研究領域だ。人は複数の顔がまとまって視界に入ったとき、1人ひとりを意識的に見分けなくても、集団全体の「平均的な表情」や「平均的な性別比」といった統計的な要約情報を、わずか0.1秒程度の一瞥で無意識に抽出できることが、実験的に示されている(※3)。
個々の顔を1人ずつ識別するより先に、集団としての“雰囲気”のようなものが立ち上がってしまう、というわけだ。
つまり、集合写真を一瞬見ただけでは、“当選予測”に相当するような具体的な評価が下せるとまでは言えないが、集団の顔ぶれから「平均的な印象」がごく短時間で無意識に形成されること自体は裏付けられているのだ。
閣僚の集合写真を見た瞬間に浮かぶ「変わった」「変わっていない」という直感も、こうしたアンサンブル知覚のプロセスを経て、ごく短時間のうちに形づくられている可能性は高いと考えられる。


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