有料会員登録
ライフ

「そんなに気にしなくていいよ」と励ます上司の残酷…感情の押し付けを捨ててたどり着く"共感モード"の聞き方の極意

10分で読める
共感
バイアスや色眼鏡をなくして話を聞く、「共感」とは一体何なのでしょう?(写真:sasaki106/PIXTA)
  • 山口 拓朗 伝える力【話す・書く】研究所所長/山口拓朗ライティングサロン主宰 
2/5 PAGES

たとえば、ある日、部下が「会社を辞めたいんです」と言ってきたとします。以下はバイアスの強い上司の一例です。

「やっぱり最近の若者は根性がない」

「うちの会社に不満があるってことか?」

「こいつは俺を困らせようとしている」

これらはすべて、上司自身の経験や価値観から生まれたバイアスです。事実でなく解釈です。

こうしたバイアスを抱えたまま返す言葉は、たとえばこうなります。

「そんなんじゃ、どこに行っても大変だぞ」「いったい何が不満なんだ?」。

これでは、「辞めたい」という言葉の奥にある真意や本音に触れることはできません。むしろ、「この上司には何を言っても分かってもらえない」と感じ、心を閉じてしまいます。

さて、ここまで読んで「自分は大丈夫」と思った人は要注意です。なぜなら、強弱こそあれ、バイアスを持っていない人はひとりもいないからです。「自分はバイアスなんてない」という思い込みこそ、最も厄介なバイアスかもしれません。

共感とは、「相手の立場に立ち、相手の感情を一緒に感じようとする姿勢」です。しかし、その前に必要なのは、自分のバイアスに気づくことです。

いったん解釈を手放し、「もしかすると、自分は何かを決めつけているかもしれない」と立ち止まる。その自己制御が共感モードのスタート地点です。

「もしよかったら相談に乗るよ」

「もう少し詳しく教えてもらってもいい? 力になれるかもしれないから」

「何か自分にできることはあるかな?」

そんな問いかけとともに、評価も説得も手放して、ただ受け止める。それだけで、相手との距離は少しずつ縮まっていきます。

色眼鏡という名の壁

バイアスが「話を聞きながら生じる解釈のクセ」だとすれば、色眼鏡は「会う前からすでに貼ってしまっているラベル」です。私たちは無意識のうちに相手のことを色眼鏡で見ています。

・会社経営者だから忙しいだろう
・偉い人だから、自分なんて相手にしないだろう
・若いから経験が浅いだろう
・無口だから冷たい人だろう

これらは、あらかじめ人物像を決めつけてしまう行為です。色眼鏡をかけるのは、自分を守るための防衛本能でもあります。しかし、その色眼鏡越しに相手を見ている限り、本当の意味での共感は生まれません。

たとえば、「偉い人だから、自分のことなんて相手にしないだろう」と決めつけた瞬間、あなたの態度は無意識に引き気味になります。質問も当たり障りのないものになり、相手の話に深く入っていこうとしません。

3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数