ヴィクトール・E・フランクル 池田香代子 訳 みすず書房 書籍情報
精神科医フランクルが、強制収容所での体験を記した本です。極限状態の記録であると同時に、人は何によって生きるのかを考える本として、長く読み継がれてきました。ある学生は、この本から受け取ったものを次のように表現しています。
「我々が人生において何を欲するのかではなく、人生が我々に何を要請しているのかというコペルニクス的転回において人生論を唱えている点」(1年・文系)
自分は人生に何を求めるのか。大学生は、進路を決めるたびにそう問われます。けれど本書は、問いの向きを反転させます。今いる場所で、自分は何を求められているのか。その見方を得ると、進路は条件の比較だけではなく、自分が何を引き受けるかという問題になります。「将来や進路に迷う大学生にこそ、一度読んでほしい」(3年・文系)という推薦には、読後の切実さがにじんでいました。
「自分は関係ない」と思っていた人ほど心が動く
辻村深月 ポプラ社 書籍情報
2018年の本屋大賞を受賞した『かがみの孤城』は、学校に通えなくなった子どもたちが、鏡の向こうにある城で出会う物語です。ちなみにこの本は、「東大生が大学入学後に読んだ本」のアンケートでも23票と最多となりました。中高生の物語を、大学生になってから読む人が多い点も興味深い結果です。
「いじめをしていたわけではないが、周りを意識するようになった」(1年・理系)
「さまざまな境遇や考え方の多様さを知れた」(1年・文系)
この作品が動かしたのは、いじめや不登校をめぐる知識だけではありません。自分は当事者ではないと思っていた読者が、周囲にいる人間としての自分に気づいています。傷ついている本人だけでなく、見ている側、気づけなかった側の視点まで変える。物語だからこそ届く変化だと思います。


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