清川先生がラットの研究に取り組み始めたのは、大学で動物行動学の研究室に入ってからだ。
「そこで初めてラットと出会い、すごく頭がいいし、面白い生き物だなって。研究を続けるなかで、ラットのもとになったドブネズミも知りたいなと思うようになりました」
ラットでは「警報フェロモン」と「安寧フェロモン」と呼ばれる匂いを介したコミュニケーションを研究してきた。
「フェロモンを嗅ぐとストレスや不安が高まったり緩和されたりするのですが、そのときに脳の中で何が起きているのかを調べています。また、これらのフェロモンは仲間だけに効くので、ネズミにとって『仲間って何だろう』ということも研究しています」
野生のドブネズミでは、見慣れないものを避ける行動「新奇性恐怖」に着目している。突然現れたものに強く警戒する行動で、罠や新たに置かれた毒餌などを避けることにも関係する。
「家畜は新しいものがあると見に来るんですよ。実験室のラットもそうですし、犬や猫も新しいおもちゃを見せたら寄ってきますよね。しかし、ネズミを含めた野生動物は避ける行動をします。そんな違いが興味深く、野生のネズミの行動や脳のメカニズムを調べています。また、ラットの安寧フェロモンが匂うと、新しいものを避けなくなることもわかってきました」
清川先生らは、野生のドブネズミが新しいものに近づくか、避けるかという行動と、脳のメカニズムやフェロモンとの関係についても研究を進めている。こうした行動の解明は、都市のネズミ対策を考える手がかりにもなる。
渋谷区でもネズミ対策を強化
前述の通り、新宿区では、23・24年度に歌舞伎町地区で屋外のドブネズミを対象とした対策を実施した。生体や死骸、糞、巣穴、ゴミ袋のかじり跡などを調べるとともに、ゴミの出され方も確認。調査結果をもとに殺鼠剤ボックスを配置し、一斉駆除を行った。


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