「コロナ前は右肩下がりで、コロナでガクンと減り、コロナ後は増加しています。コロナで街が変わってネズミが増えたのかもしれませんし、SNS等でネズミを気にする人が増えたこともあるかもしれません」
しかしながら、その実態は「神のみぞ知る」。冒頭で清川先生が語ったこの言葉は、こうした相談件数の話に続いたものだ。野生のネズミの生息数を数えることは困難であり、相談の増加はネズミの変化と人間の変化の両方の結果でもある。そのままネズミの増加を意味するとは限らない。
種類別で見ると、ドブネズミに関する相談も、15年度の270件から、24年度には730件へと約2.7倍に増えた。
「汚い」「怖い」「気持ち悪い」などの印象を抱きやすいネズミだが、実際、衛生上はどのような心配があるのか。
野生のネズミは、さまざまな細菌やウイルスなどの病原体を保有していることがあり、体にノミやダニが付着している場合もある。ネズミ由来の感染症としては、尿やそれに汚染された水や土などを介して感染するレプトスピラ症、咬傷から感染する鼠咬症などが挙げられる。
建物においては、電気配線がかじられたり、糞尿によって建材や断熱材が汚損したりすることも。住宅や店舗、工場などでは、被害を防ぐために侵入防止対策や駆除が行われている。
とはいえ、ネズミは警戒心が強く、罠や毒餌になかなか掛からないという。そこには清川先生がネズミを対象に研究する、野生動物特有の行動があった。
ドブネズミは実験室の「ラット」と同じ種類
清川先生が長年研究してきた「ラット」は、ドブネズミをもとに家畜化された動物で、分類上は同じ種にあたる。
ラットは、ペットとして飼われることもあり、動画を見ると、ボールを運んだり人の指示に合わせて動いたりする姿もあった。人によく慣れる姿は、街で見かけるドブネズミとはずいぶん印象が違う。


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